画像はサンフレッチェ広島レジーナ、12月24日イブ練習の様子から、左から二人目、近賀ゆかりの笑顔にゴールの予感…

 

WEリーグ勢登場の皇后杯4回戦で波乱、サンフレッチェ広島レジーナは松原志歩、近賀ゆかりのゴールでマイナビ仙台レディースに快勝!


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皇后杯JFA第43回全日本女子サッカー選手権大会4回戦(12月25日、広島広域公園第一球技場)
サンフレッチェ広島レジーナvsマイナビ仙台レディース

 

サンフレッチェ広島レジーナ先発
GK
 木稲瑠那
DF
 松原優菜、左山桃子、中村楓、木﨑あおい
MF
 川島はるな、松原志歩、近賀ゆかり、
FW
 立花葉、上野真実、中嶋淑乃

 

皇后杯JFA第43回全日本女子サッカー選手権大会4回戦8試合があり、WEリーグ勢11クラブが”参戦”、波乱があった。

 

WEリーグ9戦無敗で首位を行くINAC神戸レオネッサが1−2のスコアで敗れて、ネット上でさっそく物議を醸している。相手は日テレ・東京ヴェルディベレーザの下部組織で平均年齢16・3歳の日テレ・東京ヴェルディメニーナ(関東)。

 

WEリーグ10位のノジマステラ神奈川相模原も2−3のスコアでなでしこリーグ1部のセレッソ大阪レディースに敗れた。

 

WEリーグ勢同士の対戦は3会場であり、広島広域公園第一球技場のサンフレッチェ広島レジーナは2−0でマイナビ仙台レディースを押し切り”初陣”を勝利で飾った。WEリーグでの対戦(9月18日、広島広域公園第一球技場)では逆に0−2のスコアでレジーナが敗れていた。WEリーグの暫定順位も広島レジーナは8位、マイナビ仙台は2位。

 

2017年から大会4連覇中の日テレ・東京ヴェルディベレーザはAC長野パルセイロ・レディースを4−0と圧倒した。

 

4回戦結果
三菱重工浦和レッズレディース1−0伊賀FCくノ一三重
ちふれASエルフェン埼玉0−2アルビレックス新潟レディース
ノジマステラ神奈川相模原2−3セレッソ大阪堺レディース
AC長野パルセイロレディース0−4日テレ・東京ヴェルディベレーザ
ジェフユナイテッド市原・千葉レディース1−0オルカ鴨川FC
大宮アルディージャVENTUS2−1スフィーダ世田谷FC
INAC神戸レオネッサ1−2日テレ・東京ヴェルディメニーナ

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広島レジーナに敗れたマイナビ仙台の松田岳夫監督、試合後のコメントは正に敗戦の弁といった感じになった。

 

「相手の勢いをうまく受けられなかった。想定内だったが風やグラウンド、いろいろな要因の中で誤算もあった。(攻撃で)有効なスペースを作れず動きが単発になった。相手のコンパクトな守備を動かすことができなかった」

 

広島に乗り込む直前には「まず失点しないこと」そして「相手の攻撃の芽を潰すこと」に重点を置いていたはずだった。それが全部、裏目に出たことになる。

 

WEリーグ、第2節の対戦で広島レジーナはマイナビ仙台の「今までにない圧力」(中村伸監督)に押されて不運もあったが失点を重ねた。

 

この日の”クリスマス決戦”を迎えるにあたり、前線での動きのカギを握る川島はるなは「とても力のある相手だと思いますが、その相手に最初から引いた姿勢を見せるのではなくて、それに負けないぐらいのプレスだったり気持ちを持って入れたらいい試合ができるんじゃないかと思います」と前日練習後に話していた。

 

確かに強烈な寒風が吹き抜けるピッチのコンディションは微妙で、前半はマイナビ仙台が向かい風を受けた。

 

だがマイナビ仙台の誤算はピッチコンディション以外にもあったはずだ。9月の対戦では右サイドバックだった松原志歩が近賀ゆかりとボランチを組んでいたからだ。

 

この情報をどこまでマイナビ仙台ベンチが把握していたかは分からない。だが、”女王の翼”、立花葉と中嶋淑乃の両ウイングと上野真実のワントップ、シャドーの川島はるなに対するマークは準備できていても松原志歩についてはどうだったか?

 

”ボランチ志歩”は中村伸監督が”攻撃の引き出しを増やす”ための策のひとつだった。WEリーグ開幕から3試合連続で右サイドを任された松原志歩だがその後はベンチスタートが増え、第10節(11月20日)ではベンチ外となった。

 

だが10月末からBチームのボランチに入り紅白戦で新たな可能性が試されるようになっていた。12月19日にあったサンフレッチェ広島ジュニアユースとの45分×2+50分の練習マッチでは、この日の先発と同じ顔触れで、各自の動きを確認した中村伸監督はその後、メンバー交代を繰り返した。

 

何が起こるか分からない皇后杯初戦、前半開始からしばらくはマイナビ仙台の時間が続いたが、追い風を背にロングボールも使う広島レジーナも応戦して25分過ぎからは互いに”手数”を増やせずにいた。

 

迎えた前半アディショナルタイム、相手ゴール前での競り合いの中から松原志歩の一撃が相手ゴールネットを揺らした。

 

「ちょうどいいところに、前にボールが転がってきて入れって願いながら蹴ったら入りました」

 

両者選手交代なしで後半戦へ。後半7分、この日2本目のCKを獲得した広島レジーナ、キッカーは松原志歩。ゴール前で相手GKらと競り合いながらジャンプした近賀ゆかりのヘディングシュートが決まり、852人のスタンドは大いに盛り上がった。

 

このCKもまた前日練習の成果が出た、と言っていいだろう。

 

2−0快勝でチームの皇后杯デビュー戦を飾った中村伸監督は試合後「リーグ戦で痛い思いをしながら少しずつ積み上げてきたものがきょうの大事な試合で出て、みなさんと勝利を共有できて良かったです」とコメントした。

 

ゼロからのチーム作りでWEリーグに参加したサンフレッチェ広島レジーナが初めての合同練習を行ったのは2月15日で、まだチーム名すら決まっていなかった。(…なのでサンフレッチェ広島女子、として記事を書いていた)

 

それが2021年の大詰めに来て見ごたえのある90分を披露するまでになった。

 

「チームの全員が守ってハードワークして誰ひとり気持ちを切らすことなくできたのが勝てた要因。全員で勝ち取った勝利。WEリーグで惜しいとこまでいって勝てないことがあって、自分も絡むことができなくて悔しい思いをしていました」

 

松原志歩のこのコメントを中村伸監督が聞けばきっとうなづくことだろう。

 

次はレジーナ元年締め括りとなる12月29日の皇后杯準々決勝、三菱重工浦和レッズレディースとヤンマースタジアム長居で対戦する。勝てば準決勝は2022年1月5日、決勝は2月27日、そのころやっとサンフレッチェ広島レジーナは1歳になる…(広島スポーツ100年取材班&田辺一球)