歌手で俳優の山下智久(32)が主演するフジテレビ系ドラマ「コード・ブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜THE THIRD SEASON」(月曜・後9時)が、今クールNO1の視聴率をたたき出している。3話までの平均は15・3%。同枠で全話平均15%超となれば、先輩・木村拓哉主演の「HERO」(平均21・3%)以来12クールぶりとなる。代表作の7年ぶりの続編となる第3弾が好スタートを切り、安堵(あんど)する一方、隠れた苦悩や08年の第1弾からの成長を語った。

 自分たちが作り上げたものに自信はあっても、放送開始まで、少なからず不安はあった。7年ぶりの続編。視聴率を含め、いろんな意味で前作までと比べられる。その重圧の中で好スタートを切れたことに、山下は素直な思いを明かした。

 「もちろん意識しないようにやっていましたけど。やっぱり見えない部分で、すごくプレッシャーはあった。それは僕だけじゃなく、作品に関わっているスタッフもキャストも含めてみんな。でも、7年間ちゃんと待ってくれているファンの方が、『コード・ブルー』ファンの方がいたというのが、しっかり伝わってきた。少しだけホッとしました」

 もちろん、こみ上げてきたものは安堵だけじゃない。いい結果が、今後の作品作りの励みにもなる。

 「僕は(視聴者からの)感想とかも読むタイプ。それも読ませてもらった。これで自分らをもう一回、信じてできる。『コード・ブルー』の持ち味を、もっともっとしっかりと作品に出していけるように。自分らを信じてやっていく意思が固まって、より団結したのかなという感じがする」

 ドクターヘリを備えた救命センターに勤める若き医師、看護師たちの奮闘を描いた第1弾が放送されたのは9年前。自身と新垣結衣(29)、戸田恵梨香(28)、比嘉愛未(31)、浅利陽介(29)の主要キャスト5人は誰一人欠けることなく、第3弾でも勢ぞろいした。

 「今まで積み重ねてきたものがあったので、違和感もなく、信頼をしっかりと受け止めながら何か作っていけたらというのがあった。今はフェロー(フェローシップ=専門研修制度でフライトドクターを目指す医療従事者)の人たちも、新しいメンバーも、撮影に入って、ひと月ちょっとたって、やっとなじんできた。すごく心地のいい現場ですね」

 前作(第2弾)の放送が終わった後も、定期的に5人そろって“コード・ブルー会”を開いていたという。

 「みんなウマが合うというか気が合うというか。撮影も、かなりタフだった。戦友ですよね。戦場をともに戦ってきた仲間という絆も深いし、強いのかもしれない」

 続編の決定は、山下にとっても願ってもないことだった。30代になり、再び演じることに意味があった。

 「すごくやりたかった。1stシーズンが始まった時に『30代になってもできる役だ』と自分で言っていた記憶がある。ドクターなので、年齢を重ねれば重ねるほど、いろんな人間力も上がっていく。技術ももちろん。大人になっても、長年寄り添っていける役だなと、どこか若い時から思っていた。それが実現したのは、やっぱりすごくうれしかった」

 役柄だけでなく、自身の成長も実感している。演じる主人公・藍沢耕作の姿は「自分の人生とリンクしている」。今作に臨むにあたり、前回までの放送を見返したことでそのことを強く感じたという。

 「1stの時は子供で、2ndは人生や人間関係で悩んで、大人になりきれてなかった。7年たって、3rdに関しては、何をするにも自分のためじゃなくなってきた。若い時は自分がどう成長するか、何を極めていくか、自分がどうなりたいかだけで生きていた。やっぱり藍沢もそうだと思うけど、人間。人間自体に興味を持ってきているところがすごくある」

 考え方が変化してきたのは年齢の積み重ねもあるが、大学の同級生の存在が大きいという。商社に勤務する友人だ。

 「今までは職種によって、違う世界を生きていると思っていた。でも、人間の本質的なものというのはみんな同じ。いろんな人と話をしていく中で、そういうことに気付き始めた。それは性別、年齢、国籍も含めて同じだと思う。そう思い出してから、いろんなタイプの生き方があって、いろんなところで戦っている人がいて、もっともっと知りたいというか。何かそれが、一番大きく変わったところ。学生時代は、みんなノリで『楽しく飲もうぜ』みたいな。そういうところから、お互い大人になったのかな」

 ドラマは、08年の放送開始から医療界にも大きな反響を呼んだ。放送の前年に「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」(ドクターヘリ法)が公布されていたが、1stの放送当時、全国で14機しかなかったドクターヘリは、現在ほぼ全国配備となる50機に増加した。

 「俺が広げたとか、そういう気持ちは全くないですけど、僕らがやっていることで誰かにいい影響を与えられている。それはすごく、このドラマに出会えたことに感謝している」

 ドラマを見たことがきっかけで医療の道に進むようになった人の存在も耳にするようになった。

 「誰かがドクターになって、誰かの命を救っている。ナースもしかり。それは単純にうれしいという言葉だけでは表せない。自分たちが泥んこになって、寝ずに作り上げてきた作品で、そういうふうに一つでも命が救われたということは感慨深い。本当に役者冥利に尽きる」

 そうしたドラマへの反響は、かつてアイドルを志した頃に思い描いたものを超えていた。

 「もともと、この芸能をやっているというのは、より多くの人に楽しんでもらいたいという、ただそれだけだった。そういう意味で、楽しむということを一つ超えて、誰かを救えるっていう、そういう作品になったのは、すごく大きい。僕自身もっと、もう一回、帯を締め直して、しっかりと最後までこの作品と向き合っていかなきゃいけないなと思う」

 人として、俳優として成長をつかめた作品との出会いは何事にも代え難い。そして向かうべき姿が、3rdシーズン以降の続編や新たな作品との出会いにつながる。

 「本当に(セリフの)一文字一文字を、大切に受け止めていきたい。20代の時とでは役に向かい合う気持ち、捉え方も全然違う。40代になったら、また違う捉え方になると思う。だから、もっと人間の研究をしていきたい。俳優として、まだ分からないことはいっぱいある。永遠に分からないことだったりもするけど、僕自身、分からないことを知るのはすごく好き。自分のペースではあるけど、もっともっと深く、思考を掘り下げていきたい。とても貴重な仕事をやらせてもらっている。恥ずかしくないよう、しっかりとした大人になっていきたい」(ペン・畑中 祐司、カメラ・小泉 洋樹)

 ◆監督から「脱いで」

 第1話で山下が初登場する際、白衣に着替えるシーンでたくましい上半身があらわになった。「前日に連絡が来て、監督が(脱げと)…」と照れくさそうにしながらも話題を呼んだ。1年ほど前からトレーニングに取り組むようになったという。「(V6の)岡田(准一)さんの“師匠”を紹介していただいて、週1とかで通うようにしている。僕も年を重ねていく上で、何か継続していくものを、やり始めようと。10年後を見据えて。40歳を迎えても、しっかり動けるように」と肉体づくりの理由を明かした。

 ◆山下 智久(やました・ともひさ)1985年4月9日、千葉県生まれ。32歳。ジャニーズJr.時代から人気を博し、2003年にNEWSのメンバーとして歌手デビュー。05年「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)でドラマ初主演。06年にTBS系「クロサギ」で単独初主演し、08年に映画化。11年10月からソロとして活動。血液型A。