日本アカデミー賞の授賞式があったため、2週間ぶりとなる17日の金曜ロードショー(後9時)では、「ダイ・ハード」シリーズと並んでブルース・ウィリスの代表作の一つである「アルマゲドン」(1998年)が放送される。

 日本で配給収入83・5億円(興収換算で約135億円)を記録した同作は、98年の全世界最高興収作品に。ウィリス演じる主人公ハリーの娘・グレースを演じたリヴ・タイラーの父スティーブン・タイラー率いるロックバンド「エアロスミス」によるテーマソング「ミス・ア・シング」も大ヒットし、同バンドに初の全米シングルチャート1位をもたらした。

 物語は、人工衛星を修理中のスペースシャトルとの交信が突如途絶えたことから始まり、調査の結果、原因は流星雨だったことが判明。地球にも甚大な被害をもたらすが、その後さらなる事実が明らかになる。

 それは、米テキサス州と同じ大きさの小惑星の接近。衝突すれば地球は確実に滅亡する。人類が生き残る方法はただ一つ。小惑星の地中に核爆弾を埋め込み、爆発させて軌道を変えること。運命の行方は、ハリー率いる8人の石油採掘のプロたちに託された―。

 本作が根強い人気なのは、家族愛や自己犠牲の精神にほかならない。記者も毎回、涙無しでは見ることができず、特にスペースシャトルに乗り込むシーンでは見る度に目頭を熱くしている。ただ、個人的には感動がそれを上回るので気にはならないのだが、”ド素人”がわずか10日ほどのトレーニングで宇宙へ向かうというストーリー、無重力感が伝わってこない小惑星で、いくら採掘を仕事にしているとはいえ、使ったこともない機械で調査もせずに穴を掘るなど、よくよく見れば荒唐無稽の連続でもある。

 とりわけ、「核爆弾で小惑星の軌道を変える」という作戦は「そんなこと実際にできるのかよ!」と思ってしまうのだが、実は方法こそ違えど同様の実験が最近行われた。米航空宇宙局(NASA)は昨年9月、小惑星に探査機を衝突させ、軌道を変えることに成功しているのだ。

 これは、地球から約1100万キロ離れた場所で、直径約160メートルの小惑星に、重さ約570キロの探査機を衝突させたもの。この小惑星は、より大きな別の小惑星の周囲を回っていたのだが、その周期が32分ほど短くなったという。これは、従来の軌道を衝突の衝撃によって変えたことを意味する。結果を分析することでNASAは将来、地球に大きな被害をもたらす恐れがある天体が見付かった際に、地球への衝突を未然に防ぐ技術の開発を目指すとしている。

 ちなみに先月26日、ある小惑星が発見された。「2023DW」と名付けられた直径約50メートルのその小惑星は、研究の結果、2046年2月14日に地球に最接近し、衝突の可能性もゼロではないという。現在も衝突の可能性については観測と再計算がなされているそうだが、もしかしたらハリーのような”スペシャルチーム”が宇宙に向かう時が来るのだろうか。(高柳 哲人)