◆全国高校野球選手権兵庫大会▽2回戦 三田松聖5―2兵庫商(16日・ほっと神戸)

 兵庫では、プロ注目捕手・稲富宏樹主将(3年)率いる三田松聖が初戦突破。紫外線アレルギーに苦しむなか、献身的に支えてくれた母に感謝の1勝を届けた。

 強烈な日差しが照りつけるグラウンドで、稲富が攻守に全力プレーを繰り広げた。「5番・捕手」で先発し、初回1死満塁の打席は一ゴロで先取点をもたらした。守備では2投手をリードし、6安打2失点。「ふがいなかった」と自身の出来に苦笑いを浮かべたが、スタンドで見守った母・千絵さん(35)は「去年に比べたらすごく調子も良くて。本当によかったです」と目を細めた。

 高校入学を機に、2人暮らしだった大阪・寝屋川市から兵庫・三田市内で下宿を開始。体に異変が表れたのは1年の夏前だった。全身をかゆみが襲い、練習中に意識がもうろうとすることもあった。病院で検査した結果、紫外線アレルギーと判明。千絵さんは「肌の病気なんてなったことなかったのに」と、突然のことに戸惑ったという。

 1年夏から正捕手の座をつかんだ息子のため、千絵さんは練習着をすべてUVカット仕様に変えた。体調を崩すことが多かった昨夏は、心配のあまり仕事を終えた夜に内緒で下宿先の前まで向かい、車内で寝泊まりしたこともある。「苦しいことも2人なら乗り越えられる」と千絵さん。稲富は「母の支えがなければここまで来られなかった」と感謝を口にした。

 6月から始めた心理療法が奏功し、現在はほとんど症状が出なくなった。二塁送球タイム1・9秒の強肩を持ち、この日は巨人など5球団が視察に訪れる選手となった稲富は「これまで迷惑をかけてきたので恩返ししたい」。一緒に闘ってくれた母を、初の甲子園に連れて行く。(種村 亮)

 ◆稲富 宏樹(いなとみ・ひろき)1999年4月27日、大阪・藤井寺市生まれ。18歳。小学5年生から「京阪タイガース」で野球を始め、中学時代は「東淀川ボーイズ」に所属。高校では1年春からベンチ入り。50メートル走6秒1、遠投103メートル。178センチ、83キロ。右投左打。