◆巨人8―2中日(5日・東京ドーム)

 菅野が、エースのすごみを後輩に見せつけた。8―1の8回2死、打席にはビシエド。150キロ直球でファウルの後、126球目の外角スライダーを振らせて今季最多12個目の三振を奪った。大差で力勝負にこだわってもいい場面。冷静に先を見据えて変化球を選択した。

 「今日で試合は終わりじゃないですから。あそこでの力んだ1球というのが(今後に)響いてくる」

 同じ東海大相模高出身の左腕、小笠原との投げ合い。味方の大量援護に「途中から投げたい球を試して、フォークを交ぜた」。普段は割合が少ない落ちる球で大島から三振を奪い、手応えを得た。失点は2回の藤井の適時二塁打だけ。最速153キロで8回7安打1四球。打者・小笠原からは力勝負で三振を奪った。

 2年前の8月20日、小笠原が夏の甲子園決勝で本塁打を打って優勝投手となった日、菅野は阪神戦(東京D)で完投勝利。自身は甲子園出場経験がなく、当時は「刺激になります」と自分のことのように喜んだ。プロの世界で初対決。強い気持ちを胸に臨んだ。

 「意識します。彼も意識すると思う。僕の場合は前田健太さん(広島、現ドジャース)がいた。最初は手も足も出なかった。前田さんに投げ勝つことを常に目標にしていた。彼ともそういう勝負をしていきたい」

 打撃面でも進化を続ける菅野は先月の練習中、斎藤雅樹投手コーチからプロ初本塁打を要求された。

 斎藤コーチ「そろそろ一発を見てみたいねえ。俺は通算5本! 後楽園球場の右中間に放り込んだよ」

 90年代の大エースの打撃力に「すごいです」と目を丸くした。「打席での姿勢はチームに伝わる」と打撃練習も一球も手を抜かず、ライナーを連発して準備した。4回1死一塁、「投げっぷりが良かった」と感じた小笠原から粘って四球をもぎ取り、陽の3ランにつなげた。今季打率2割4分3厘、出塁率3割。投手の打撃の大切さ、エース道を母校の後輩に背中で示した。

 自身5連勝で、リーグ単独トップの12勝目。防御率1・94と合わせて2冠だ。「コンディションを維持できているのが一番。まだまだこれからです」。新たな名勝負の予感漂う東海大相模対決。日本のエースが、大きな壁として立ちはだかった。(片岡 優帆)