レスリング世界選手権(21日開幕、パリ)女子63キロ級の代表決定戦が8日、都内の味の素トレセンで行われ、リオ五輪63キロ級金メダルで同選手権60キロ級代表・川井梨紗子(22)=ジャパンビバレッジ=の妹、友香子(19)が初の代表切符を獲得した。負傷離脱した伊藤彩香(24)=東新住建=の代替選手をともえ戦で決め、川井友が、伊藤友莉香(自衛隊)、源平彩南(至学館大)に連勝した。女子日本は全8階級で最大4個の金メダル獲得を目指す。

 川井姉妹はうれし涙を流し、抱き合って喜んだ。9位に終わった世界ジュニア選手権(フィンランド)から6日に帰国し、中1日で挑んだ決定戦は、姉が得意とする「崩す組手」でライバルたちを制した。ともに第2ピリオド。相手の体勢を崩す組手からタックルをしかけ、ポイントを奪い逃げ切った。3番手からの逆転切符。友香子の奮闘に姉の梨紗子は、自分の涙と妹の汗をタオルで交互にふき、「本当に良かった。頑張ったね」と感涙した。

 姉の“援護射撃”で実現したともえ戦だ。正代表の伊藤彩が左アキレス腱(けん)を断裂し負傷離脱。代表決定戦が実施されることになったが、友香子の名前はなし。姉が6月の全日本選抜で妹が源平とともに3位だったことを栄和人強化本部長に指摘。「友香子が出ないのはおかしい」と訴え、再検討の末にともえ戦となった。

 母の初江さんは89年世界選手権53キロ級代表。父・孝人さんも学生2冠の筋金入り一家でレスリングは「母にかまってもらいたくて小2から始めた」。試合後は涙した梨紗子はふだんは厳しい鬼姉だ。直前の世界ジュニア9位の妹のふがいなさに「ブチ切れ」。実家の石川・津幡町からLINEで叱った。あまりの激怒ぶりに「母から『落ち着いて』と言われたほど」と笑った。

 昨年6月に負傷した左肩を手術し年末に復帰した友香子。「そう考えたらここにいることが不思議」。リオ五輪では現地で姉のスパーリングパートナーを経験。雲の上の目標だった20年東京が身近になり、姉が五輪を制した63キロ級の代表を背負った。「心強い」姉と挑む初の世界舞台。友香子は「ここからが勝負」と燃えたぎった。(小河原 俊哉)

 ◆川井 友香子(かわい・ゆかこ)1997年8月27日、石川県生まれ。19歳。至学館高卒。至学館大2年。全日本選手権は15年に56キロ級3位、16年60キロ級3位。17年は全日本ジュニア63キロ級初優勝、8月の世界ジュニア選手権は9位。父・孝人さんは学生2冠、母の初江さんは89年世界選手権53キロ級代表。162センチ。