◆第99回全国高等学校野球選手権大会第1日 ▽1回戦 津田学園7x―6藤枝明誠=延長11回=(8日・甲子園)

 明誠、全国1勝ならず―。開会式と1回戦が行われ、甲子園初出場の藤枝明誠は津田学園(三重)と対戦。2度リードを許しながら先発全員安打の13安打で追い付き延長戦に持ち込んだが、力投を続けたエース・久保田蒼布(そう、3年)が11回2死一、二塁で172球目を打たれ、6―7でサヨナラ負けした。これで県勢の夏は4年連続初戦敗退となった。

 久保田が力尽きた。6回以降は津田学園打線を無安打に抑えてきたが、11回に左前打を許し、2死二塁で当たっている1番・菊地を敬遠。しかし、そこまで3三振の2番・宮木に172球目を合わされた。前進守備の常盤勇汰中堅手(3年)が頭上を抜かれ、明誠の夏が終わった。目に涙を浮かべたエースは「みんなに申し訳ない」と声を絞り出した。

 目標の「甲子園1勝」には届かなかったが、明誠の「進化形」は見せた。春までは投高打低で「久保田頼み」のチームだった。それが夏の県大会で静高や日大三島に打ち勝った。そして、この日も打線が魅せた。1―4と逆転された直後の5回に、3番・清水一真(3年)からの5連打で追い付く。「気持ちが技術を上回った」と清水が言えば、河合も「狙い通りに低い打球を打てた」。

 4―6と突き放されて迎えた6回も中田悠斗、服部恵汰(ともに3年)の連打で振り出しに戻した。終わってみれば先発全員の13安打。光岡孝監督(39)も「みんなが力を出し切ってくれた」とナインを褒めた。

 守備も光った。ひとつ前の第2試合の途中で大雨が降り1時間15分もの中断。内野には土が敷かれ、バウンドが不安定だった。それでも鍛え抜かれた内野陣は、強烈なゴロを確実に止めた。「光岡先生が厳しいノックを打ってくれたおかげです」と一戸輝彦三塁手(3年)。圧巻は9回だ。2死二塁で久保田が右翼へ大飛球を打たれたが、中田主将が背走を重ね、芝生にたまった水しぶきを上げながらキャッチ。「落としたら終わり。絶対に捕るつもりでした」と振り返った。

 粘り強い攻撃と無失策で2時間15分を戦い抜いた堅い守備。敗れはしたが、ナインは「藤枝明誠」の名を聖地に刻み込んだ。清水は「後輩たちには、甲子園に来て勝つのが当たり前のチームになってほしい」と託していた。(里見 祐司)