◆第99回全国高等学校野球選手権大会第1日 ▽1回戦 彦根東6x―5波佐見(8日・甲子園)

 鬼の粘りが勝利を呼んだ。1点を返して同点とした9回2死一、二塁。彦根東の4番・岩本道徳がはじき返した打球は、一、二塁間をぶった切るように抜けた。右前安打で二塁走者が生還し、59年ぶりの開幕戦逆転サヨナラ勝ち。村中隆之監督(49)は「歴史を動かした。魂のヒット。先陣を切れてよかった」。スタンドの「赤鬼魂」と記されたうちわの拍手が、喜ぶ選手を包み込んだ。

 創部124年目、県立の伝統校。赤い武具で「赤鬼」と恐れられた彦根藩主・井伊家の「赤備え」にちなみ、一塁側アルプス席は開会式から真っ赤に染まった。約3500人の大応援団と一般客の計5000人に配布したTシャツ、帽子、タオル、うちわを赤で統一。指揮官が「我々の闘争心をかき立てる」と語る“現代の赤い武具”で甲子園初勝利への背中を押した。岩本は初回先頭で三塁線への痛烈なライナーを赤いグラブで好捕。赤いパンツでプレーする選手もおり、赤鬼魂が随所に発揮された。

進学校らしく“朝勉”が日課 県内屈指の進学校。野球部は毎朝7時から1時間の“朝勉”が日課だ。岩本が宿舎に「iPad」を持ち込み、保存した塾の映像授業で勉強するなど、文武両道を地でいくナインだ。この日は滋賀・長浜市が豪雨被害に遭い、応援団のバス53台も学校からの出発が危ぶまれたが、大声援に最高の結果で応えた。

 岩本は、2年春に患った手足のまひを伴う難病「ギラン・バレー症候群」を克服しての活躍。「応援が力になった。勉強? きょうは余韻に浸ります」。次戦は強豪・青森山田が相手。赤鬼が、聖地で旋風を起こす。(浜田 洋平)

 ◆彦根東(彦根市) 1876年創立の県立校。野球部は1894年創部。偏差値65(家庭教師のトライ参考)で、昨年度の進学実績は東大、阪大など。部員数69人。センバツは3度出場。夏は4年ぶり2度目。主なOBは田原総一朗(ジャーナリスト)、細野豪志(衆議院議員)ら。