◆第99回全国高等学校野球選手権大会第2日 ▽1回戦 盛岡大付4―1作新学院(9日・甲子園)

 集中打で昨夏王者撃破だ。1回戦で盛岡大付(岩手)が、昨夏の甲子園優勝校・作新学院(栃木)に4―1で勝ち、初戦を突破した。1―1の5回、4番・遊撃の比嘉賢伸主将(3年)の中越え2点適時二塁打など、4安打を集中して3点を挙げて勝ち越し。なかなか得点を奪えなかったが、5回は安打のおかわりが止まらない“わんこそば打線”が実力をみせた。盛岡大付は第8日(15日)第1試合で、松商学園(長野)と2回戦を行う。

 勝利が決まった瞬間、盛岡大付・比嘉主将は右手を力強く握りしめて喜びを表した。昨夏優勝の作新学院に勝利。「ボール球を振らず、ストライクゾーンに入ってきた球をしっかり振れた」と話した比嘉主将の一打が、試合の流れを大きく引き寄せた。

 5回に暴投で2―1と勝ち越し、その後に迎えた2死一、二塁。「相手の一番いい球を狙ってやろうと思った」(比嘉主将)と高めの直球を叩き、中堅フェンス直撃の2点適時二塁打で4―1とリードを広げた。この日は4打数2安打2打点。4番の役割を果たした。

 奮起する理由があった。8月3日、祖父の武一(たけいち)さんが大阪府内の病院で75歳で亡くなった。大阪出身の比嘉は幼少時からかわいがられ、今春のセンバツもテレビ越しに応援してもらっていたという。3日の練習後、一時チームを離れて病院へ行き、祖父の顔を見てきた比嘉は「頑張れと言ってくれていると思う」。祖父の思いを胸に全力プレーをみせた。

 岩手大会は全6試合で2けた安打、チーム本塁打は出場49校で2番目に多い10本。だがこの試合、4安打して3得点した5回は比嘉以外すべて単打だった。そこには今春センバツの苦い経験があった。

 準々決勝の履正社(大阪)戦、相手エース竹田祐(3年)のキレのある変化球の前にわずか2安打に抑えられ、1―8で完敗。比嘉主将は「これでは全国に勝てない」と持ち味のフルスイングだけでなく、軽打の練習をセンバツ後に取り入れた。2ストライクに追い込まれたと想定し、すり足打法に変えてコンパクトに振ることを意識し、個人で考えて対応。5回は安打がつながり、“わんこそば打線”が本領を発揮した。

 1995年夏の初出場から9大会連続で初戦敗退していたが、初勝利した13年春から5大会連続の初戦突破だ。松商学園との2回戦へ、関口清治監督(40)は「(甲子園は試合を)やればやるほど成長する。選手たちがどんなプレーをするか楽しみ」と期待。比嘉主将は「このまま勢いに乗って、でも調子に乗らないように、雰囲気を作っていきたい」と気を引き締めた。前年覇者撃破を自信に変え、盛岡大付が一戦ずつ強さを増していく。(有吉 広紀)