◆中日7―1広島(9日・ナゴヤドーム)

 森監督は、大島から受け取ったボールを左手で握りしめた。7日に長女・矢野麗華さんが乳がんのため35歳で死去。悲しみを胸に秘めて指揮を執る指揮官に、選手たちが勝利を贈った。13日に通夜、14日に告別式が行われる。森監督は「(大島の行動は)娘のところに持って行けということだと思う。これで1本、線香でもあげて、みんなの気持ちが伝わってくれればうれしい。一緒にユニホームを着て、勝たせてくれたことに感謝します」と神妙に話した。

 その勝利の立役者は京田だった。6回1死二、三塁から、一塁への詰まったゴロに全力疾走して2点内野安打とするなど、プロ初の5安打で3打点2盗塁と大暴れ。「何が何でも勝たないといけない試合だった。何としてでも塁に出るという気持ちが結果につながったと思います」と、特別な気持ちで臨み、開幕から無敗の大瀬良に土をつけた。

 京田は今季112安打。107安打で並んでいた1970年・谷沢健一を突き放し、球団の新人歴代単独4位となった。59年・江藤慎一の球団記録139安打まで27本。残り40試合での記録更新は十分に可能だ。さらに、猛打賞は今季10度目。99年・福留(現阪神)の球団新人記録11に王手をかけた。

 最後のアウトの飛球を捕って森監督にボールを渡した、駒大の後輩でもある大島は「みんな、そういう思いは持っていたと思う。何と言っていいか分からないけど、こういう形でしか、監督に返せない」とナインの気持ちを代弁した。指揮官のために、チーム一丸で勝ち取った白星だった。(酒谷 裕)