◆明治安田生命J1リーグ 第21節 神戸1―2鹿島(9日・ノエビアスタジアム)

 鹿島はFW金崎夢生(28)が2得点を挙げ、神戸に2―1で逆転勝ちした。今夏の獲得オファーを断った神戸相手に覚悟を示すマルチゴール。3連勝で首位浮上に貢献した。1試合消化の多いC大阪は清水に2―3で敗れ2位に後退した。

 FW金崎の右足には覚悟が込められていた。1点を追う後半24分、エリア内でMF中村の落としたところを右足で右ネットを揺らした。同41分にはMFレオ・シルバのスルーパスに抜け出し、GKをかわして右足で決勝点を流し込んだ。「自分としてはしっかりと結果を出さないとダメな状況だった。このピッチでどうしても勝たないといけない理由があった」。いつもの笑顔はなかった。

 神戸から鹿島に金崎獲得に乗り出す連絡があったのが7月下旬。その後、神戸との獲得交渉にも臨んだ。「正直、神戸さんの話は魅力的だった。これからの将来のことも(話が)あって、ひかれた」。鹿島に「何の不満もない」という中でも、これから頂点を目指していく神戸の野心に触れ、年俸などの条件面も恵まれていた。周囲にも移籍を推す声があった。強い心が大きく揺らいだ。

 最終的には「ロシア(W杯)に出ることを一番に考える」を軸に結論を導いた。常勝軍団で得点を重ね「すべてのタイトルを取る」(金崎)ことで、日本代表復帰への道が開けてくると考えた。この日、視察に訪れた日本サッカー協会の西野朗・技術委員長も「動けるのはいいこと」と評価。昨年6月以来となるハリル・ジャパン復帰へ向けても、前進する2得点になったはずだ。

 今季途中から指揮を執り、9戦で8勝1分けと負けなしの大岩剛監督(45)は「いろいろあった中でこれだけチームに貢献してくれる。もともと信頼していたが、それを上回るパフォーマンスを見せる姿に感嘆した」と言った。試合後、ヒーローインタビューを終えて、一人で鹿島サポーターが集まるスタンドに向かった金崎。いつもより長めに頭を下げてから、両手を上げて声援に応えた。首位に浮上した鹿島。神戸相手に2ゴールしたように、エースが有言実行で連覇へと引っ張っていく。(内田 知宏)