男子フィギュアスケートで66年ぶりの五輪連覇を目指す羽生結弦(22)=ANA=が拠点のトロントで練習を公開。平昌五輪シーズンのフリーに映画「陰陽師」の音楽「SEIMEI」を2季ぶりに再演することを明らかにした。

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 聴き慣れた笛と太鼓の音色がリンクに響いただけで、高揚感がよみがえった。世界最高得点を2試合続けて更新したあの曲だ。力強いジャンプ、しなやかな手足の動き。羽生が作り出す「SEIMEI」の世界観にすぐに引き込まれた。「『このプログラムが大好き』と思っている人は多い。これがまた見たかったと、みんなが思うに違いないさ」。ブライアン・オーサー・コーチの言葉だ。

 15―16年シーズンを迎えるにあたり、羽生は「ここまで和のプログラムを出せるのは今の日本男子で僕しかいない。僕だから出せる繊細さや力強さがあると思う」と言い切った。そして、その通りの作品に仕上げた。「試合を見た時に『また』と思われない演技をしたい」。今後、5本の4回転をどのようにプログラムに染み込ませていくのか。新たな挑戦をスタートさせた。

 例年そうなのだが、羽生が練習を公開するのは年に一度だけ。平昌五輪前のラストチャンスとあり、日本から約80人の報道陣が駆けつけた。テレビと新聞を合わせると30分以上取材に応じ、終始笑顔で言葉を紡いだ。試合会場とは違ったリラックスした姿があった。

 1時間ずつ2度公開された練習では、開始直後にいきなり完璧な4回転トウループを降りた。SPの曲かけは、さらりとノーミス。「クリーンに滑りきることが一番大事なこと。それができるようになれば結果はついてくる」。初戦はオータム・クラシック(9月20日開幕・モントリオール)。いつその時を迎えても問題ないほどに仕上がっていた。(フィギュアスケート担当・高木 恵)