◆第99回全国高等学校野球選手権大会第3日 ▽1回戦 日本航空石川6―5木更津総合(10日・甲子園)

 日本航空石川が、3点を追う9回2死一、三塁から4連打で逆転し、8年ぶりの初戦突破。地方大会で出場49校中最低のチーム打率2割8分3厘だった打線が、木更津総合(千葉)の今大会NO1左腕・山下輝(ひかる、3年)のクセを見抜き、土壇場でひっくり返した。聖心ウルスラ学園(宮崎)は、カタカナ入り校名学校としては、春夏通じて甲子園初白星。2年生の最速144キロ右腕・戸郷翔征が毎回11奪三振で2失点完投した。

 日本航空石川が「あと1アウト、あと1球」の土壇場から4連打で試合をひっくり返した。3点差を追う9回2死一、三塁、カウント2―2。安保治哉の適時打から3連打で同点とすると、とどめは4打数無安打だった4番・上田優弥。外角低めのスライダーを左前に運び勝ち越した。185センチ、97キロの頼れる主砲は「『ここで決めたらヒーローや』と思っていた。打った瞬間に『よっしゃ!』と思った」と笑顔を振りまいた。

 選手の誰もが、自分たちの粘り強さを信じていた。石川大会準決勝・星稜戦では、2―7で迎えた8回に5点差を追いつき、延長11回に上田の左越え打で8―7のサヨナラ勝ち。春の北信越大会覇者・星稜の夏2連覇を阻んだ。主将の三枡春樹は「9回は星稜戦のことを思い出した」と話した。

 出場49校中最低となる、地方大会チーム打率2割8分3厘の打線が、大会NO1投手・山下に14安打を浴びせた。対戦決定後に千葉大会の映像を分析し、山下攻略の糸口となるクセを見抜いた。上田は「直球と変化球ではグラブを握る深さが少し違うと、みんなで気づいた」と明かした。さらに「左打者のインコースには投げて来ないと分かっていた」とベース寄りギリギリに立ち、外へ逃げるスライダーに狙いを絞っていた。

 187センチの長身左腕から投げ下ろされる、最速149キロの直球への対策も万全だった。シート打撃では同じ左腕の杉本壮志が打撃投手を務め、プレートの2メートル前の位置から投げた。しかし杉本の身長は169センチしかない。そこで150キロに設定した打撃マシンを台の上に乗せ、角度のついた直球の軌道を目に焼き付ける工夫も実った。「この勝利の勢いを保って、チーム一丸で次戦に臨みたい」と中村隆監督(33)。好投手を完全攻略した日本航空石川が、一気に甲子園の上昇気流に乗った。(勝田 成紀)