巨人が鮮やかな逆転勝ちで、2カードぶりに勝ち越した。ヒーローは途中出場の寺内だ。同点の8回2死満塁、決勝の2点二塁打を放ち、由伸監督の期待に応えた。7回、阿部が通算1997安打を放ってつくった好機では、長野のピンチバンターとして登場。得点には結びつかなかったが、次の回に大仕事を果たした。8回を3者連続三振に封じたマシソンが3勝目。9回を締めたカミネロが、巨人の来日1年目の外国人最多を更新する20セーブ目を挙げた。

 勝利をたぐり寄せる一打を放ち、寺内は二塁上でガッツポーズを繰り出した。ベンチに視線を送ると、両手を突き上げて喜ぶナインの姿があった。「自分が決めると、みんなが喜んでくれる。今日もベンチのみんながガッツポーズをつくってくれていた。一生懸命、頑張っていれば、いいことがある」。今季初のお立ち台ではにかんだ。

 2―2の8回2死一、三塁。前を打つ村田が敬遠された。「村田さんが歩かされるという状況が分かった時点で、相手より強い気持ちで打席に立つ準備はしていた」。ネクストバッターズサークルでは亀井から「踏み込んでいけ」と助言を送られた。

 「何が何でも打ってやろうという、強い気持ちで打席に立ちました」。マテオの151キロ内角直球を振り抜くと、打球は左翼線に飛んだ。決勝の2点二塁打に「チームに貢献できた」と胸を張った。この打席まで15打数2安打、打率1割3分3厘。“伏兵”の今季初のV打が2カードぶりの勝ち越しを決めた。由伸監督は「本当にチームを助けてくれた。バントを決めたことで寺内の流れになったのかな」と賛辞を贈った。

 巨人にとって今季2戦2敗、防御率0・56と封じられてきたメッセンジャーが先発。指揮官は勝利への執念を見せ、動いて勝ちにいった。同点の7回、阿部と村田の連打で一、二塁とし、二塁走者・阿部の代走に重信を起用した。「とにかく先に1点をというところでそういうふうに出た」とこの日、一発を放った長野のピンチバンターとして寺内を投入。2球目で犠打を成功させた。寺内は「長野というレギュラーに代わっての代打のバント。大きい役割という認識。何が何でも決めるという気持ちでいった」と振り返った。

 JR東日本時代はトーナメントが主戦場。「一発勝負の世界で培ってきたことが、プロでも継続できている」。重圧に打ち勝つ精神力は負けない。この回は無得点だったが、由伸監督が積極果敢にタクトを振るい呼び込んだ流れを、寺内が最後に白星へと結びつけた。

 プロ11年目。支えてくれる家族への感謝は尽きない。妻・真奈さんは体重が減りやすい体調を考え「肉料理と魚料理を毎日必ず用意してくれる。料理の品数は最低でも5、6品は出てくる。全部おいしい」と頭を下げる。癒やしは1歳半の息子と過ごす時間。休日は一緒にお風呂に入り、おもちゃで遊ぶことが何よりの楽しみだ。「この子が物心つくまで、1年でも長く野球選手としてやっていたい」と目標にしている。

 ヒーローインタビューでは「まだまだベテランじゃない。いつまでも若手でいられるように」と34歳は力強く言った。会見場では「年齢は年齢ですけど、ベテランだと思うと成長は止まってしまう。向上心がなくなる。そういう気持ちがあれば、まだ成長できる」と真意を明かした。今季の先発出場はゼロだが、熱い気持ちがある限り、縁の下の力持ちも輝き続ける。(長井 毅)