カネに目がくらんでしまったのか―。

 バルセロナからパリSGに移籍したブラジル代表ネイマールに、クレ(バルサ・ファン)の怒りの声が収まらない。違約金は史上最高額となる2億2000万ユーロ(約283億8000万円)に及び、ネイマールの年俸は3000万ユーロ(約38億7000万円)とも言われている。これに出場給や成績のボーナスなどが加算されるのだから、バルセロナでの条件を大幅に上回ることは言うまでもない。

 ファンの怒りを買ったのは無理もない。昨秋、21年6月までの新契約にサインしたばかり。巨額の違約金も設定され、胸をなで下ろしたファンも多かったはずである。しかし、移籍報道が飛び出すとバルサ残留を危ぶむ声が広がった。ジョルディ・メストレ副会長がいくら「200%ない」と否定しようとも、パリSGのオーナーを務めるカタール・スポーツ・インベストメンツの豊富な資金力を考えれば「あり得ない移籍」は十分に考えられたからである。ネイマールが移籍を希望し、満額の違約金を用意された段階で、もはや食い止めることは難しかった。

 ネイマールの“バルサ愛”はなぜ、冷めたのか。最大の理由は、見返りの愛に不満があったからではなかったか。やはりバルセロナでは「王」にはなれない。

 「王」はあくまでリオネル・メッシなのだ。ちなみに先月に契約延長したメッシの違約金設定はネイマールをはるかに上回り、新年俸も4000万ユーロ(約51億6000万円)だとか。ブラジルの10番として2番手に甘んじることは受け入れられない。そのプライドが背中を押したようにも感じた。カネを含めてすべてメッシを上回ってみせる―。今回の移籍は、そんな決意の叫びにも聞こえてくる。

 同僚からライバルへ。メッシにキバを向くネイマールの新章も、それはそれで悪くない。

(スポーツライター)