◆楽天4x―3日本ハム=延長11回=(10日・コボパーク宮城)

 少しだけ後悔が残った。サヨナラ打を放った銀次は二塁を越えると立ち止まって、ナインのウォーターシャワーを浴びた。時計は既に午後10時24分。気温は20度ほどで長袖を着る観客も多い中、ユニホームをびっしょりにぬらした。「失敗しました。寒いです」。うれしい悲鳴が、肌寒くなった仙台の夜空に響いた。

 燃えないわけはなかった。直前の茂木が敬遠気味の四球で歩かされて迎えた同点の延長11回1死一、二塁。石川直の直球をはじき返して、左中間越えの適時二塁打で試合を決めた。「(決めたい気持ちは)もちろんありました。落ち着いて打席に入れたのがすごくよかった」と納得。頼れる選手会長がチームを今季5度目のサヨナラ勝ちに導いた。

 同期の支えもあった。試合前の練習中。同学年の枡田に「2番バッター、ちゃんとしてくれる?」と冗談交じりで激励を受けた。銀次と枡田は同じ05年のドラフトで高卒のプロ入り。背番号も33と32で1つ違い。これまでの12年間苦楽を共にしてきた。そして試合後に待っていたサプライズ。ずぶぬれになった銀次を見て、枡田が自らのユニホームを差し出した。お立ち台に銀次は「32」で上がった。出場機会に恵まれない同期に「慎太郎やったぞ!」とヒーローインタビューで感謝の気持ちを伝えた。

 チームは2連勝でマイナス1ゲーム差にて堅首。梨田監督は銀次の一打に「さすがだなという感じ。勝負強いところを見せてくれた」とたたえた。この日は岩手・矢巾町が協賛する「矢巾町ナイター」。出身地の普代村とは100キロ以上離れているが岩手出身の銀次が当然のように、主役の座を持っていった。(安藤 宏太)

 ○…オコエがサヨナラの起点になった。延長11回1死から石川直の113キロのカーブに反応し、左翼線二塁打で出塁。銀次のサヨナラ打でホームを踏んだ。「9番・右翼」での出場が続き4試合連続安打で存在感を示す20歳は「いまは9番という打順が自分には合っていると思う。チームバッティングすることを考えているのでよかった」。9回にはプロ2つ目となる犠打も決め、梨田監督も「だいぶ成長の跡は見られる」とたたえた。