◆第99回全国高等学校野球選手権大会第4日 ▽1回戦 智弁和歌山9―6興南(11日・甲子園)

 悪夢ともいえた3回の6失点が、智弁和歌山の猛打復活の合図となった。4回に2点を返し、5回には林晃汰と冨田泰生の2ランで豪快に追いついた。勢いは止まらず、終わってみれば6点差を大逆転の13安打9点。3回戦に進出した11年夏以来、6年ぶりの勝利だ。春夏通算64勝目となった高嶋仁監督(71)は「久しぶりですね。まだ甲子園におれるって気持ちですよね」と余韻に浸った。

 興南の1年生左腕・宮城大弥をアッという間に攻略。強力打線の点火に一役買ったのが伝説のOBだ。97年夏に全国制覇した時の主将で、元阪神、巨人の中谷仁コーチ(38)が4月に就任。スタンドで勝利を見届け、「6点差をはね返すのはたいしたもの。ここ最近の智弁はこういう試合ができないイメージがあったから」としみじみ語った。

 強い智弁和歌山の伝統に、プロで得た経験、理論をミックスし、選手に惜しみなく伝えている。腰痛で今年の4月から約2か月間、戦線を離脱した林は「休んでいる間、中谷さんに教わって体幹を鍛えた。そのおかげで逆方向に打球が伸びたんです」と5回の2ランに感謝。一人一人に合わせたきめ細やかな指導で、高嶋監督をサポートした。

 97、2000年夏に甲子園を制し、代名詞となった強打での勝利。次の相手は春の近畿大会初戦で敗れた大阪桐蔭だ。抽選会が行われた4日の夜。大阪桐蔭の西谷監督、明徳義塾の馬淵監督と3人で食事をしたという高嶋監督は「勝った瞬間、次が大変やなって。大阪の某太った監督はイヤだね…」と西谷監督を意識して苦笑いしたが、強打の復活を証明するには最高の相手。打って打って、打ちまくって、V候補の春夏連覇を阻止する。(筒井 琴美)