◆第99回全国高等学校野球選手権大会第5日 ▽1回戦 仙台育英15―3滝川西(12日・甲子園)

 安打量産で大勝だ。仙台育英(宮城)が毎回の18安打と猛攻をみせ、滝川西(北北海道)を15―3で破り2回戦進出を決めた。宮城県勢の夏の甲子園で、1試合18安打は3番目、15得点は2番目に多い記録だ。3番・左翼で先発出場した山田利輝(3年)が1回の先制2ランなど、5打数2安打3打点の活躍。つなぐ打撃で5回以降は毎回得点を奪った。2回戦は第9日(16日)第3試合で、日本文理(新潟)との対戦が決まった。

 低い弾道の打球がぐんぐん伸び、左翼ポール際に飛び込むと、球場全体から歓声が起こった。1回1死二塁、仙台育英・山田が先制の2点本塁打。内角高めに浮いた球をたたいた一発は、「手応えはあまりなくて、左飛かと思った。(打った球は)覚えてないです…。直球でした?」と記者に逆に尋ねるほど無心のフルスイングだった。

 山田の一撃で勢いづいた打線は、2回に9番・投手の長谷川拓帆(3年)の右越え3ランで追加点。5回以降は相手失策などにも乗じて毎回得点と、滝川西を圧倒した。佐々木順一朗監督(57)も「フルスイングが身上の山田が当たって、入って、勇気を与えてくれた」とたたえた。

 カッコイイ兄の姿をみせた。弟の脩也さん(12)は7月下旬開幕のWBSC U―12W杯に、日本代表の一員として参加。大会前に山田から「頑張れよ!」と激励され、投手兼内野手として4位入賞に貢献した。脩也さんはこの日、三塁側アルプス席で兄の雄姿を観戦。「本塁打はすごいな、と思った。(将来は)自分も仙台育英のユニホームを着て、甲子園で優勝したい」と目を輝かせた。

 初戦の大勝は“吉兆”だ。現ロッテの平沢大河内野手(19)、現オリックスの佐藤世那投手(20)らを擁して準優勝した15年夏も、打線が県勢最多の20安打、大会記録の1試合10二塁打を放ち、1回戦で明豊(大分)に12―1で勝利。チームはその後、3回戦で現広島・高橋樹也投手(20)の花巻東(岩手)、準々決勝で現ロッテ・成田翔投手(19)の秋田商(秋田)、準決勝で当時1年生の清宮幸太郎内野手がいた早実(西東京)と、強豪校を撃破した。同じように初戦の猛打を次戦以降につなげたい。

 2年前より優れている点を問われ、「チームワーク。自分たちで考えるし、この子たちは負けないな、という感覚になる」と評した佐々木監督。山田をはじめ、マルチ安打が6人と切れ目のない打線が、2年前の先輩たちを超える日本一を目指して戦っていく。(有吉 広紀)

 ◆宮城大会不調の前田&斎藤打った

 宮城大会で不調だった下位2人がともに安打を放った。打率1割6分7厘の7番・一塁の前田颯太(3年)は、3打数2安打に「(監督に)我慢して使ってもらって、感謝の気持ちで打った」。同9分1厘の8番・二塁の斎藤育輝(3年)は、5―0の5回2死二、三塁で左前へ2点適時打など2打数1安打2打点に、「(5点でも)足りない、とベンチで話していた」と追加点を喜んだ。

 ◆春は背番10の前武當、力強い太鼓で応援

 三塁側アルプス席で応援の太鼓係を務めたのは、今春センバツに背番号10でベンチ入りしていた前武當(まえんとう)大斗投手(3年)だ。宮城大会でのベンチ外が決まったときは落ち込んだが、データ班になって他校の試合を見て選手に伝えるなど、気持ちを切り替えてチームの力になった。前武當は「今やれることをやるだけです」と、力強く太鼓を叩いていた。

 ◆次戦はVS日本文理 佐々木監督早大対決

 2回戦で当たる日本文理(新潟)の大井道夫監督(75)は、佐々木監督にとって早大の先輩に当たる。組み合わせ決定後に早大関係の激励会があり、佐々木監督は「1つ勝って大井さんの(日本)文理とやるのが夢です」と話したという。言葉通りに実現した“早大対決”。今大会で勇退の決まっている大井監督は「育英さんの打線は強力。食らいついて、いいゲームがしたいね」と意欲をみせた。