◆第99回全国高等学校野球選手権大会第5日 ▽1回戦 日本文理9―5鳴門渦潮(12日・甲子園)

 最後の夏、まず1勝。緊張をほぐすように、日本文理・大井監督は力強く息を吐いた。「よく打ってくれた。(自分が)いないところでは『監督に1勝を』とか言ってくれている。子どもたちには感謝しかない」。試合中の厳しい表情から一転。お立ち台では満面の笑みとハキハキとした声で語りかけ、“大井節”を響かせた。

 16安打9点と猛打の快勝発進。主役は3番打者の川村啓真だ。初回1死一塁から、逆方向の左中間へ先制2ランを放つなど、5打数3安打5打点の大暴れ。高校通算40発に「甲子園練習でも1本を打っているので、41本です」と冗談を言いつつ「試合で打てたのがうれしい。打った瞬間行ったな、と。方向的には一番いい本塁打」と自画自賛した。

 09年夏の甲子園。中京大中京との決勝で、6点を追う9回2死から猛攻。惜しくも1点差で準Vだったが、粘り強さを見せた。川村は3日前、スマホでその熱戦を観賞。熱闘を心に刻んだ。この日は準Vを思い出させる攻めで「勝利に貢献できた。(次戦も)監督に勝利をプレゼントしたい」。1年春から中軸を任され「信頼されている自覚を持て」と言われたこともあった。指揮官は「1年生から使ってきて、やっと期待に応えてくれた。ずっと芽が出なかったけど、ようやく花が開いたね」と目を細めた。

 「子どもたちとまだまだ野球できるのは幸せだなあ。宿舎に帰ったら褒めてあげたい」。名将最後の夏は、全国制覇で花道を飾る。(水野 佑紀)

 ◆高齢監督白星 日本文理・大井道夫監督が75歳で白星。09年に常総学院・木内幸男監督が78歳で出場したが、初戦敗退。春は82年に明徳・松田昇監督が76歳で勝利している。