◆第99回全国高等学校野球選手権大会第5日 ▽1回戦 日本文理9―5鳴門渦潮(12日・甲子園)

 鳴門渦潮・森恭仁監督(50)は気丈に戦った。父・萬壽男(ますお)さん(享年78)が10日に肺炎で急死。鳴門工と鳴門第一が12年4月に統合後、現校名での初勝利はならず「できることなら校歌を届けたかった」と天国の父を思った。

 危篤の知らせを受け、10日の早朝6時半に高速バスで徳島市内の病院に急いだ。ナインは初めての大舞台直前。主将の松崎健太にメールを送った。「絶対に迷惑はかけない。試合の日の朝食は、必ずお前たちと一緒に取るから」。父の最期には間に合わず、10日夜に通夜。11日の告別式は長男として喪主を務めた。孫の試合を見に行くなど、高校野球が大好きだった父。ひつぎには、森監督が04年夏に鳴門第一、11年春に城南を率いて甲子園に出た時の記念タオルを入れて見送った。

 前夜11日の午後10時に宿舎に戻り、普段通りを装った。「子供たちに背負わせるのは違う」。野球に集中してほしい。思いを知るナインは、0―7から10安打で5得点。「逆転を期待させる試合をしてくれた。本当によくやった」。諦めずに食らいついた教え子たち。その姿に胸が熱くなり、涙がこぼれた。(浜田 洋平)