◆第99回全国高等学校野球選手権大会第6日 ▽2回戦 二松学舎大付14―2明桜(13日・甲子園)

 8年ぶり9度目の出場の明桜(秋田)は、二松学舎大付(東東京)に2―14で敗れ、1990年以来の夏1勝はならなかった。秋田大会決勝の金足農戦で右肩を亜脱臼したエース右腕の山口航輝(2年)は「4番・右翼」で先発。2回にチームの初安打を放ったが、守備で肩の痛みから遠投ができず、相手の強力打線に狙われた。山口は「また戻ってくる」と大舞台でのリベンジを誓った。

 悔しさを振り払うように、明桜・山口は前を向いた。8年ぶりとなる夏の甲子園。マウンドに立つという夢はかなわず、2―14と完敗した。「観客の方がたくさんいる中で楽しかった。悔しい思いもあるけど、試合に出させてもらえて感謝の気持ちでいっぱいです」。その目に涙はなかった。

 なんとか舞台に上がった。秋田大会は、投げては最速146キロの直球を武器に25回2/3を2失点。打っては4番で16打数9安打1本塁打。投打の中心として優勝に貢献した。だが、金足農との決勝戦。一塁走者でヘッドスライディングした際に右肩を亜脱臼した。「今までにない痛み」とプレー続行が不可能に。チームメートの踏ん張りで勝ちきったが、負傷当日は右手が全く上がらず、「今回は無理かもしれない」と諦めの気持ちが広がっていった。

 東京都内の病院にも通院し懸命に治療した。打撃は問題なくプレーでき、投げる方も「投手は無理だけど、腕は回るようになった」と山口。輿石重弘監督(54)ら首脳陣も外野での守備なら可能と当日に判断し、試合に出場。だが全国の舞台は甘くなかった。

 地区大会のチーム打率が4割3分5厘と出場49校でトップの二松学舎大付が、山口狙いのヒッティング。6回には4連続で右翼方向に当たりが飛んだ。相手3番・平間陸斗(3年)の打球を本塁に返球したが「ボールが届かなかった。悔しかったですね」と唇をかんだ。

 期待された打撃も三塁への内野安打1本にとどまり、力を出し切れないまま甲子園を去った山口は「甲子園のマウンドに立たないで、自分の高校野球は終われない」と言い切った。「まだ2度チャンスがある。1勝の積み重ねで全国制覇をしたい」と来春のセンバツ、来夏の甲子園出場にすべてをかける。聖地の土は袋に入れることはしなかった。悔しさを糧に再び帰ってくるために。(遠藤 洋之)