◆世界陸上 第9日(12日、英ロンドン)

 競歩が行われ、男子50キロはリオ五輪銅メダルの荒井広宙(29)=自衛隊=が3時間41分17秒で銀メダル、小林快(24)=ビックカメラ=が2秒差で銅メダルを獲得した。丸尾知司(25)=愛知製鋼=は5位で、日本勢は全員が入賞した。世界記録保持者のヨアン・ディニ(フランス)が大会新記録の3時間33分12秒で初優勝。女子20キロの岡田久美子(25)=ビックカメラ=は1時間31分19秒の18位だった。

 ゴールが見えた。荒井はサングラスを外した。「今まで夢だなと思ってきたことが次々に現実になっている。うれしい」。35キロ過ぎで集団から抜け出し、銅メダルの小林と2人旅。世界記録保持者のY・ディニ(フランス)には8分以上離されたが、日本勢過去最高の銀に喜びを隠せない。

 歩型が美しい。今村文男・五輪強化コーチ(50)は「ストライドが広く、ブレが少ない。荒井君が一番トレンドに近い」と評する。給水の効率がいい。「体重の減少量と摂取量が安定している」と今村氏。1回100〜120ccの適量を飲めず脱水状態になる選手もいる中で、汗で減った分を適切に補給できる。

 16年リオ五輪は、ダンフィー(カナダ)との接触による失格騒動の末に銅。想像以上に心が燃え尽きた。「1回取ると、また取りに行くのはすごく大変」。何かを変えよう。今年1月、趣味を増やそうと10万円のドローンを購入。休日に川などの景色を撮影すると、気分転換になった。「メリハリが大事。1台目は鳥に激突して壊しちゃって、今のは2台目です」と笑う。

 今大会はリオ金のトート(スロバキア)、銀のタレント(オーストラリア)が不在。「攻めのレースはできた。彼らが戻ってきた時どうなるか」と20年東京五輪へ気を引き締めた。同一種目の複数メダルは、03年大会の女子マラソン以来14年ぶり。この大会の競歩では前回男子50キロの谷井孝行(自衛隊)に続く表彰台で、日本勢の今大会の獲得メダルは3個。日本の新しいお家芸の中心に荒井がいる。