冬巡業中の4日に付け人に暴力を振るった大相撲の幕内・貴ノ岩(28)=千賀ノ浦=が6日、東京・台東区の千賀ノ浦部屋で謹慎を始めた。付き添った千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)は「後悔ですね」と弟子の心情を代弁。一方、被害を受けた付け人の三段目・貴大将(23)は同日、東京・両国国技館で日本相撲協会から事情聴取を受けた。理事会などで精査され、年内にも厳罰が下されるスピード決着となる見込みだ。九州場所で初優勝した小結・貴景勝(22)ら巡業先の弟弟子からは失望の声が相次いだ。

 午後5時半、疲れ切った表情の貴ノ岩が、東京・台東区の千賀ノ浦部屋に入った。師匠・千賀ノ浦親方が運転するワンボックス車を玄関前に横付け。無数のフラッシュを浴びたが、報道陣の質問には無言を貫いた。

 4日夜、巡業先の福岡・行橋市内の宿舎で「忘れ物の言い訳をした」という理由で付け人・貴大将の頬を平手と拳で4、5発殴打した。忘れ物は貴ノ岩の財布だという。相手を正座させて殴ったとの情報もある。暴力が発覚した5日に緊急帰京させられ、相撲協会から事情聴取を受けた。当日は都内の自宅マンションで過ごしたが、師匠の目の届く部屋での謹慎の暫定処置を受けたこともあり、この日移動。迎えに行った千賀ノ浦親方は「厳しく監督するようにと。(貴ノ岩は)後悔ですね、後悔」と弟子の様子を語った。

 急きょ用意された個室での謹慎で、付け人らの大部屋とは別だが、稽古は可能。しばらくは加害者と被害者が同じ屋根の下で過ごす状況になる。同親方は、被害者・貴大将への聴取に付き添うために外出した際には「残念で仕方がない。貴ノ岩は自覚が足りない。考えが甘い」と厳しい言葉で弟子の愚行を憤っていた。

 貴大将は午後1時から両国国技館で約1時間、高野利雄・危機管理委員長(元名古屋高検検事長)、鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)から事情を聞かれた。聴取後、貴ノ岩が説明した暴行内容と「全部一緒です」と話した。自分に否があったのかと問われ「そうです」とつぶやき、頬の腫れについては「大丈夫」と答えた。殴られた心の傷は大きいが、貴ノ岩の謝罪を受け入れ、周囲には「頑張ります」と現役続行へ強い意志を示していることが判明。被害届を出す予定もないという。

 暴行発覚からわずか2日間で双方からの聞き取りは終了。早ければ今月中旬に予定される理事会を経て貴ノ岩の正式処分が下される。10月に「暴力決別宣言」を発表した協会はスピード感をもって不祥事に対応。貴ノ岩が昨年10月に元横綱・日馬富士から暴行を受けたことも踏まえ、芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「早く収束をしてもらいたいという願いがある。被害者が加害者(の側)に回るのはもってのほか。当人同士の問題ではない」と語気を強めた。厳罰は避けられない中、年内決着が現実味を帯びてきた。

 ◆部屋に戻った千賀ノ浦親方と報道陣のやり取り

 ―協会での話の内容は?

 「それはまだお答えできません」

 ―貴ノ岩が部屋に戻ったのは?

 「迎えに行って、今日から部屋で謹慎して、僕が見とかないといけないので」

 ―車の中で話は?

 「車の中ではしてない。これから部屋で話をします」

 ―謹慎の期間は?

 「それはまだ分かりません」

 ―どういう話をするか?

 「何でそういうふうになったのか、いろいろ話をします」

 ―これからどのように声をかけるか?

 「部屋に入って、ゆっくり」

 ―今日の話し合いで何か決まったことは?

 「いや、何もないです」

 ―2人に対しては、どのような思い?

 「これから話をします。話しますんで」