芸歴30周年にして初主演舞台をつかんだバイプレーヤーがいる。

 東根作(とねさく)寿英。46歳。

 中学3年生の時に「アミューズ・10ムービーズオーディション」(1988年)に合格し、芸能界入り。同期には福山雅治がいる。これまで175本以上のドラマに出演(事務所調べ)、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」(永野芽郁主演)での「喫茶 おもかげ」のマスター・シロウ役は記憶に新しい。主戦場は「2時間サスペンス」ドラマ。「何か見たことある」殺し、殺され、疑い、疑われ、その回数は数知れず…だ。

 そんな名脇役にも10年以上前、不遇の時代があった。1年間、仕事がないことだってザラ。息詰まった彼を救ったのがゴルフだった。

 東根作は「年間300日は練習場に通っていた」と笑う。毎日のように反復練習。一心不乱にクラブを振り続けた。「スイングの形を固めるため、毎日コツコツ。練習すれば体も疲れるし、そうすることでごまかしていた」

 その結果、ベストスコア75まで上達。「所属事務所のコンペなんかで活躍すると、『うまいね』って。そこで(話が弾んで)仕事の広がりも出てくる。自分の生活のもう1本の軸になっています」。ゴルフがもたらした思わぬ効果だった。

 インタビュー中、物腰がとにかく柔らかかった。謙虚で温和な口調も印象的だった。「ゴルフではプレッシャーのかかる場面になると、テイクバックからスイングまでの一瞬にいろいろなことを考えてしまう(笑い)。セリフも大事なシーンになると『俺の番』『俺の番』って噛(か)んでしまう(笑い)。弱い部分が似ているんです。いまだに克服できないけど、『自分を探る』という意味ではいい勉強になっています」

 恐縮しながら話す姿に、人柄の人だなと感じた。ライバルがごまんといる芸能界、優しさが仇(あだ)となることもあるけど、心底、応援したいと思った。30年この世界で生き抜いてきた理由が、おぼろげながら分かった気がした。

 初の大役となる「Boss&Police 〜ガケデカ後藤誠一郎〜」(来年1月9日開幕、東京・CBGKシブゲキ!)まで約1か月。舞台出演は7年ぶりになる。スポットライトを浴び、舞台上で輝く東根作の姿を見るのが待ち遠しい。(記者コラム)