◆第101回全国高校野球選手権大会第9日 ▽2回戦 鳴門5─8仙台育英(14日・甲子園)

 この夏1人でマウンドを守ってきた鳴門の西野知輝(かずき)が、力尽きた。立ち上がりを攻められ、初回にわずか15球で4点を失った。4回に味方が5点を取り、一時は1点差まで詰め寄ったが相手を止めることができず、森脇稔監督(58)に交代を告げられた。「投げ抜きたかった? そうですね。悔しいけど仕方ない」。初戦の花巻東戦では154球で4失点完投。そしてこの日は8回126球と聖地で計280球を投じ、今夏7試合目にして初めて降板した。

 61イニング963球。7月22日の徳島大会初戦から、西野が24日間で投げた球数だ。代表校で唯一、地方大会から1人で投げ抜いてきた。昨年は花咲徳栄との初戦で終盤に大量失点。悔しい負けを経験したことで「今年は1人で投げ抜く強い気持ちを持ってきた」と最後の夏に挑んだ。2連投となった徳島大会決勝では「腕に力が入らなかった」というなか、160球の1失点完投勝利だった。

 大船渡の佐々木が岩手大会の決勝を登板回避して以来、議論が交わされてきた。球数制限か、本人の気持ちか。西野は「佐々木君はすごく有望で、トップで投げると言われている選手。状況がまた違うのでどちらとも言えないと思う」と、この日の試合前に冷静に自身の考えを口にしていた。

 そんなエースの思いを指揮官もくみ取り「ロースコアならうちは代えない。西野はそれだけ気持ちの強い子」と送り出した。最後はこれまで登板機会のなかった竹内勇輝に交代したが「ここまで1人で投げ切れたことは自信になる」と身長174センチの技巧派左腕。卒業後も大学で野球は続ける。令和最初の甲子園で残した魂の熱投は、きっとこれからの財産になるはずだ。(筒井 琴美)