◆DeNA10―4巨人(11日・横浜)

 奇跡の逆転Vへの弾道は力強かった。DeNAファンの夢を乗せたソトの打球はセンターバックスクリーンのスコアボードを直撃した。衝撃はすさまじく、「7回裏」部分の照明を破壊。観客をざわめかせた。

 2回先頭、桜井のカットボールを捉えた打球は推定飛距離137メートルの特大弾となった。来日2年目。お立ち台で破壊弾を「ゴメンナサイ」と日本語で謝罪して笑いを誘い「チョースゴイ。あそこまで飛ぶとは思わなかった」と自画自賛。ハマスタでは15年の柳田(ソフトバンク)、先月のビシエド(中日)らが破壊弾を放っているが、ソトも規格外のパワーを見せつけた。

 これだけでは終わらない。3回2死一塁。今度は桜井のカーブを左翼席へ2打席連発となる38号2ラン。さらに8回にはダメ押しの39号2ラン。3方向に打ち分け、来日初の1試合3発で5打点。今季97打点とし、本塁打、打点でリーグ2冠。ライバル坂本勇の前で2位以下に差を広げた。

 2年前の秋。ソトは神奈川・横須賀市内の2軍施設で入団テストを受けていた。メジャーは通算34試合に出場のみ。3Aでくすぶっていた金の卵の合格を決めた当時の高田繁GM(現DeNA本社フェロー)は「ロペスが故障した時か、1年目は2軍で日本の野球に慣れてもらって、2年目からと考えていた」と振り返る。それが1年目から41発で本塁打キングに輝き、オフに2年契約を勝ち取った。

 1月に結婚。開幕とともに来日したマリアム夫人が心の支えだ。美人妻はホームのほぼ全試合を応援に駆けつけ、試合後はキスで労をねぎらわれている。

 台風翌日で交通機関がまひした9日。名古屋からの新幹線を降りると、新横浜駅が大混雑してタクシーに乗れなかった。超満員の横浜市営地下鉄に押し詰めにされて帰宅する羽目になっても、文句は言わなかった。

 首位・巨人との直接対決は残り4戦で4差。ラミレス監督は「3発はアンビリーバブル。でも僕は前からソトの本塁打王を脅かす人はいないと言っていた」と得意げだった。超優良助っ人は「優勝争いをしているので、自分のことよりチームが優先」ときっぱり。残り11試合。最後まで巨人に食らいつく。(岸 慎也)

 ◆シピンという男 72年に大洋(現DeNA)に来日した強肩強打の二塁手。72、73年はベストナインとダイヤモンドグラブをW受賞。長髪をなびかせ、当時の少年向け特撮番組から“ライオン丸”の異名で人気があった。75年には34本塁打を放つなど、6年連続で20発以上をマークし、78年に巨人に移籍、80年限りで帰国。通算1036試合に出場し、218本塁打を放った。72年のオールスター戦で福本豊(阪急)のホームスチールを阻止した強肩は語り草。メジャー経験は69年、パドレスでの1シーズン(68試合)だけだったが、デビュー戦で1試合2三塁打のメジャー記録を持つ。