日本相撲協会は21日、東京・両国国技館で秋場所(9月12日初日、両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会を開き、名古屋場所で14勝を挙げた照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=の横綱昇進を満場一致で承認した。新横綱は17年初場所後昇進の稀勢の里以来で、平成生まれは初、令和最初の横綱が誕生した。照ノ富士は、都内の伊勢ケ浜部屋での伝達式で「不動心を心掛け、横綱の品格、力量の向上に努めます」と口上を述べた。

***

 伝達式の様子を相撲協会のYouTubeで見た。両膝を痛めた照ノ富士は正座ができない。体に爆弾を抱えながら頂点に上り詰めた“奇跡”に本当に胸が熱くなった。実に立派である。

 安定感のある横綱。大関から序二段まで落ちて復活するまでに“照ノ富士の型”を完成させた。鋭い踏み込みから左前回しを取る右四つ。苦しくなると体が反り返って大きな技で逃げようとする悪癖もなくなった。負けない横綱になる。

 鳥取城北高に入学する前、尾車部屋に10日間ほど体験入門した。シコやテッポウ、ぶつかり稽古を一生懸命に頑張っていた少年だった。照ノ富士はそのままウチの部屋に入りたかったのかもしれない。しかし、ウチの部屋に入って金屏風(びょうぶ)の前で横綱の伝達式が行えたかというと疑問だ。横綱という壮大なジグソーパズルは鳥取城北高を卒業して入門した間垣部屋が消滅。移籍した伊勢ケ浜部屋で努力を重ね、大関から序二段まで落ちて地獄を経験するパズルがあってこそ完成したものだ。人生というのは本当に分からない。(尾車親方=元大関・琴風、スポーツ報知評論家)