侍ジャパンの準決勝の対戦相手が17日(日本時間18日)、プエルトリコに逆転勝ちしたメキシコに決まった。

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 まずは戦力うんぬんの前にメキシコの、この勢いが怖い。1次Rで優勝候補の米国を破りフロックかと思ったら、そのまま1位突破。そして、スター選手がそろうプエルトリコ相手にこの逆転勝ちでしょう。よく甲子園で試合をするたびに成長するっていうチームがあるけどまさにそれで、運もある。どん詰まりが右翼線に落ちた7回のL・ウリアスの決勝打なんか『そこに落ちますか?』って当たりだった。

 戦力的にはまず1番のアロザレーナと2番バードゥーゴに要注意。日本的というか、何とか後ろにつなごうという打撃をしてくるし、実際に5、7回は四球や安打でつないで得点を呼び込んでいる。本塁打を打った5番のパレデス含めたクリーンアップはメジャーリーガーらしくパワーがあるから、先発する佐々木朗は縦の変化をうまく使うこと。インコースでも構わず振り回すから横の変化だけだと怖い。具体的にはフォークに加えて縦スラやカーブ。チェンジアップがない分、この2つをうまく使って“奥行き”のある投球をしてほしい。

 メキシコは勢いを含めていいチームだけど、弱点がないかというとそんなことはなくて、やっぱり細かいプレーはできない。例えば投手のクイック。見ていた感じ、この試合に出ていたメキシコの投手は全員、侍ジャパンだったら走れるはず。9回無死一塁でプエルトリコがバントを失敗したけど、どうして走らなかったんだろうと思った。ここまで来るとロースコアの試合になる可能性が高いし、周東、中野、牧原大の足が勝負の分かれ目になるかもしれない。走者が三塁にいても、打者によってはベースから大きく離れる大胆なシフトを敷くから、本盗を狙うのも一つの手かと思う。(スポーツ報知評論家・高木豊)