◆ラグビーW杯フランス大会 ▽1次リーグD組 日本12―34イングランド(17日、フランス・ニース)
【ニース(フランス)17日=ペン・大谷翔太、大和田佳世、カメラ・石田順平】日本はイングランドとスクラムで対等に渡り合った。開始早々の自陣ゴール前でのピンチで耐え、昨年11月の対戦時に3本連続で反則を取られたところから成長をみせた。フランカーのリーチ・マイケル(34)=BL東京=も「かなり自信になる」と手応えを得たプレーは、第3戦のサモア戦(日本時間29日午前4時)でも機能するのか。担当記者が「占う」。
* * *
前半3分、自陣ゴール前のスクラム。主審が一度、フッカー堀江に注意を与えて組み直しとなったが、8人の総キャップ数451、合計10キロ重い百戦錬磨のイングランドFWに対し、8人全員の足が芝をとらえた日本はびくともしなかった。リーチは「かなり自信になる。最初のスクラムで耐えたし、相手に何本かプレッシャーかけた」と手応えを語った。
“母国”イングランドと対等に戦い、土台や方向性が間違っていないことはひとつの収穫といえる。ただ、個人のパワーで押してくるサモアにも同様に戦えるとは言い切れない。8人の合計体重は日本が892キロでサモアのチリ戦先発メンバーは934キロ。7月22日(札幌D)の対戦時(22●24)には不在だった、レンスター(アイルランド)でプレーする130キロのプロップ、アラアラトアも不気味な存在だ。
4月にスクラム短期合宿でコーチ役を務めたプロップ稲垣は「お尻を下げないこと」をカギに挙げる。前3人の壁を後ろ5人の壁が支え、さらにフランカーが前3人のお尻を寄せて上げる。ロック陣は所属チームでは第3列でプレーする選手も多く、国内合宿がスタートした直後の6月には19年メンバーと比べて足の筋力が80%だった。空気圧でクッションが動くマシンを使い、筋力アップとロックの動きをしみこませた。
時間をかけてつくった土台に、分析と対策を基に相手によって微修正を加える。スクラム担当の長谷川慎コーチは今回「殴られる前に殴る」をキーワードにした。「クラウチ、バインド、セット」のかけ声の「バインド」で、いかに優位な体勢を取れるかを意味し、コラプシング(スクラムを故意に崩す反則)は一つだけだった。この試合で得た自信を過信にせず、日本時間29日の一戦へ準備することが求められる。(大和田 佳世)