【江差】海を眺めながら和室でお茶を―。北大大学院工学研究院の小沢丈夫教授(建築デザイン)らが6月下旬から今月にかけて江差町を訪れ、組み立て式の和室をまちなかに設置して町民や観光客と交流を図る試みを行った。突然現れた和室が関心を集め、小沢教授に来町を呼びかけた町民は「町民が学生と交流するきっかけになり活気が生まれた」と話し、まちづくりに役立つと手応えを感じている。

 小沢教授と建築史意匠学研究室の院生7人で6月28日〜7月1日に訪れた。持ち込んだ和室は「組立和室」と呼ばれる木製の簡易和室。小沢教授が宮崎県の建設会社からスギの活用について相談を受けたことがきっかけで共同開発し、2015年4月に完成させた。

 広さは2畳。工具は必要なく、柱などの枠組みに壁や床板のほか障子扉などをはめこむ。雨が降らなければ屋外でも使用でき、解体すれば軽トラックなどで運べる。2015年のグッドデザイン賞に選ばれた。

 今年4月、小沢教授と親交があり、まちづくりに取り組む江差町いにしえ資源研究会会長の室谷元男さんが研究室を訪れた際、組立和室に目がとまり「江差で和室を組み立てて町民と交流を」と依頼した。

 6月29日、かもめ島の岩盤が広がる「千畳敷」で、和室を設置した。リーダーの修士2年、柳原千絵子さん(25)は茶道歴10年で、和室でお茶を振る舞った。友人と観光で訪れた函館市の介護福祉士の男性(29)は「斬新で不思議な空間」と驚いた様子でお茶を味わった。30日も中心部で和室を設置し、多くの町民が集まった。柳原さんは「一期一会の出会いの大切さを感じた」と話す。