1945(昭和20)年8月9日、長崎市に投下された原爆で損傷し、その後よみがえった「被爆(ひばく)クスノキ」の枝などを使い、長崎県出身の井波彫刻師、音琴(ねごと)和彦さん(58)=砺波市杉木=がオートバイの作品を制作した。今秋の長崎・平和公園での展示を前に、南砺市の「いなみ木彫りの里創遊館」で公開されている。音琴さんは「多くの若者に平和や原爆について考えてほしい」と願う。 長崎市の山王神社に立つ被爆クスノキは、歌手で俳優の福山雅治さんの曲「クスノキ」のモデルとなったことでも知られる。今回、材料に使われたのは、治療のため近年伐採された枝や幹で、昨年12月に音琴さんが長崎の樹木医から「平和のために使ってほしい」と譲り受けた。 音琴さんは若い世代に関心を持ってもらえるよう、得意のオートバイを作ることにし、今年1月から制作していた。2トントラック1台分もの大量の材料をチェーンソーやノミで削り、組み合わせて仕上げた。 全長3メートル、重さ150キロの大作は「被爆 火の鳥」と名付けた。原爆で焼かれ傷ついても不死鳥のようによみがえり、長崎復興のシンボルになったクスノキであることから、羽ばたく火の鳥と平和へ疾走するイメージを重ね合わせた。 心臓をエンジンに、うねるように走る車体には帽子や手まりを彫り、犠牲になった子どもたちの魂を表現。音琴さんは「被爆クスノキに長崎のいろいろな思いを感じた。それを伝えるのが自分の役目だと思う」と話した。 同所での展示は8月中旬までで、10月に長崎へ送る。