きょうのコラム『時鐘』2017/11/1700:45お金(かね)は、自分(じぶん)と関係(かんけい)がないと思(おも)えばどんな巨額(きょがく)でも遠(とお)い世界(せかい)の話(はなし)に聞(き)こえる。逆(ぎゃく)に近(ちか)いとなると5円(えん)、10円にこだわる。人間(にんげん)は現金(げんきん)なものだレオナルド・ダビンチの絵(え)に、508億円相当(おくえんそうとう)の値(ね)が付(つ)いた。「ふーん、あるところにはあるもんだね」程度(ていど)の感想(かんそう)である。買(か)い主(ぬし)がだれかはまた話題(わだい)になるだろうが、500億円と自分の給料(きゅうりょう)を比(くら)べて嘆(なげ)く人(ひと)はまずいない加賀市(かがし)で落(お)ちていた現金2000万円(まんえん)の持(も)ち主(ぬし)が現(あらわ)れず発見者(はっけんしゃ)のものになった。先月(せんげつ)、1000万円が見つかった富山市(とやまし)でまた1700万円が見つかった。同(おな)じころ砺波市(となみし)では3億円と1億円の宝(たから)くじが出(で)たという大金(たいきん)がどこかでぐるぐる回(まわ)っている。どれも現実(げんじつ)だが夢(ゆめ)にも思える。覚(さ)めれば幻(まぼろし)、消(き)えてなくなっているとの落語(らくご)を思いだしながら、自分も少(すこ)しあやかりたい気分(きぶん)がないとは言(い)えない、そこが悔(くや)しい。だが、それでいいのだと思う娑婆(しゃば)とは「忍(にん)」の意味(いみ)で、人間界(にんげんかい)は誘惑(ゆうわく)や苦痛(くつう)が多(おお)い。「地獄(じごく)よりましな程度(ていど)の所(ところ)」との例(たと)えも辞書(じしょ)にある。上(うえ)を見ればきりがない、下(した)をみれば後(あと)がない、と笑(わら)って暮(く)らせる平成(へいせい)の世(よ)の師走(しわす)が近(ちか)い。