きょうのコラム『時鐘』2017/09/2500:12ご先祖(せんぞ)に申(もう)し訳(わけ)ないが、彼岸(ひがん)に入(はい)ると墓(ぼ)参(さん)よりも先(さき)に「おはぎ」を連想(れんそう)する。きな粉(こ)やゴマをまぶしたのもあるが、餡(あん)に引(ひ)かれる「萩(はぎ)の餅(もち)」が語源(ごげん)だそうな。小社(しょうしゃ)の一隅(いちぐう)にハギの植(う)え込(こ)みがあり、いま花盛(はなざか)りである。小(ちい)さな目(め)立(だ)たぬ花だが、風(かぜ)になびくと秋(あき)の風(ふ)情(ぜい)があたりを包(つつ)む。花をつけて初(はじ)めて、ハギがあったことを知(し)った。控(ひか)えめな姿(すがた)が好(この)ましい秋の七草(ななくさ)の筆頭(ひっとう)である観光客(かんこうきゃく)とおぼしき若(わか)者(もの)グループが通(とお)りかかった。見(み)ていきませんか、と声(こえ)をかけようとして、ためらった。地(じ)味(み)な花や季節(きせつ)の移(うつ)ろいよりも、グルメや土(みや)産(げ)探(さが)しが楽(たの)しいに決(き)まっている。ひっそり咲くのが似合(にあ)う花もある異常(いじょう)な空模様(そらもよう)が続(つづ)き、暮(く)らしにゆとりが薄(うす)れてきた。つらいのは、ほかの生(い)き物(もの)も一(いっ)緒(しょ)だろう。それでも健(けな)気(げ)にハギは咲く。小さな秋は、いくらも見つかる。不順(ふじゅん)な天候(てんこう)に惑(まど)わされて、人(ひと)の目(め)まで曇(くも)ってはいないのか、とハギに諭(さと)されたような気(き)がした四季(しき)を演(えん)出(しゅつ)する自然(しぜん)は、そうたやすくほころぶものでもあるまい。彼岸日和(びより)の一日(いちにち)、努(つと)めて秋を訪(たず)ねてみたい。「鰯雲(いわしぐも)天(てん)にひろごり萩咲けり秋(しゅう)桜子(おうし)」。