きょうのコラム『時鐘』2017/08/2000:38お盆過(ぼんす)ぎの紙面(しめん)で「教(おし)え子(ご)の冥福祈(めいふくいの)る」との記事(きじ)を読(よ)んだ。89歳(さい)になる元小学校教諭(もとしょうがっこうきょうゆ)が、自分(じぶん)より先(さき)に亡(な)くなった教え子たちの法要(ほうよう)をしているというのである「教え子はわが子(こ)同然(どうぜん)、寂(さび)しくてどうしようもない」と話(はな)している。これもいわゆる「逆縁(ぎゃくえん)」である。先(さき)に死(し)ぬ運命(うんめい)にある親(おや)が、子の供養(くよう)をすることになる。昨今(さっこん)の長寿社会(ちょうじゅしゃかい)では「後先(あとさき)」が逆になるケースは昔以上(むかしいじょう)に多(おお)くなる。切(せつ)ないことである中学(ちゅうがく)1年(ねん)の夏休(なつやす)み中(ちゅう)のことだった。クラスメートが海水浴事故(かいすいよくじこ)で亡(な)くなった。新学期(しんがっき)、机(つくえ)が一(ひと)つ空(あ)いた教室(きょうしつ)に母親(ははおや)が来(き)て「みんなは大人(おとな)になるまで元気(げんき)でいて」と訴(うった)えたのを覚(おぼ)えている。その時(とき)の担任(たんにん)の顔(かお)まで思(おも)いだす。つらかったと思う夏休み前(まえ)、教師(きょうし)や校長先生(こうちょうせんせい)は「みんな事故(じこ)に遭(あ)わないで」と、生徒(せいと)を送(おく)り出(だ)す。平凡(へいぼん)で月並(つきな)みな訓示(くんじ)に聞(き)こえるが、先生としては何(なに)よりも大事(だいじ)なことを心(こころ)から願(ねが)って伝(つた)えているのだという夏休みも残(のこ)りわずか。子どもは無事(ぶじ)で元気が何(なに)よりだが、当(あ)たり前(まえ)が当たり前でないこともある。夏休み明(あ)けが怖(こわ)い子もいるだろう。無理(むり)をしないでと先生は祈(いの)っている。