金沢市が制定する第47回泉鏡花文学賞の授賞式は9日、金沢市民芸術村で行われ、「ひよこ太陽」で受けた田中慎弥さん(46)が山野之義市長から正賞の八稜鏡(はちりょうきょう)と副賞の100万円を受け取った。田中さんはスピーチで「書きたいことは本当は、何にもない。職業として書いている。考える暇があれば鉛筆を持って書き続けたい」と語った。 式には選考委員のうち五木寛之、村松友●、嵐山光三郎、山田詠美、綿矢りさの5氏が出席した。 2012年に芥川賞を受けた田中さんは受賞時、選考委員だった作家の石原慎太郎東京都知事(当時)に触れ「都知事閣下のためにもらっといてやる」と発言して話題になった。 作品紹介で山田さんは「何か不測の事態が起きるのではないかと身構えていた。田中君、鏡花文学賞をもらっておいてやってくださって本当にありがとう」と呼び掛け、会場の笑いを誘った。 五木さんも「受けてくださって本当にありがとうございました」と述べ、「(受賞作には)強力な候補があり、侃々諤々(かんかんがくがく)の激論の果てに委員全員が納得して決まった。果たし合いのような真剣勝負で、心地よい高揚感が残った」と選考過程に触れた。 五木さんは次々と姿を消す全国各地の文学賞に触れ、自ら設立に携わった泉鏡花文学賞について「長く続けようとは考えていない。市民の関心がなければ明日にでもやめればいい」と述べた。 山野市長は「文学賞は文化都市金沢の幹の一つ。市民と共に大切に育んでいきたい」と決意を示した。松村理治市議会議長が祝辞を述べた。泉鏡花記念市民文学賞を受けた岩田崇さん(77)=羽咋市=と河畑孝夫さん(57)=加賀市=の授賞式も行われた。●は示ヘンに見