加賀市の奥山中で生産されたコシヒカリを副原料にした地ビール「杉水(すぎのみず)米ビアー」が4月に発売される。杉水町の耕作放棄地を再生した農地で手作業で栽培された完全無農薬米のため収量が少なく、希少価値の高い商品として収益確保を図る。かつては炭焼きで栄えたものの、今や住民のいなくなった集落の再生にもつなげる。製造は川北町の農業法人「わくわく手づくりファーム川北」が協力する。 コシヒカリを手掛けるのは加賀市別所町の霜下靖允(やすまさ)さん(32)。東京農大を卒業後、大手外食企業に就職し、同僚が社内で起業したフランチャイズの会社に加わったが、介護への事業転換を機に帰郷。「自分で作った安全な物を提供したい」と、幼い頃から興味のあった農業を始めた。 杉水町でそば店を経営する両親の知人の林昌則さん(56)が町内で耕作放棄地を再生させたものの、人手が足りずに再び放棄地になろうとしていたため、霜下さんが手伝うことにした。 2年前の初年度は1アールを耕したが、収穫できた量は15キロほどで、昨年は作付面積を4倍に拡大。コシヒカリを副原料にした川北地ビールの存在を知り、より収益性の高い地ビールの生産に踏み切った。 1月中にわくわく手づくりファーム川北にコシヒカリを納入し、2月から仕込みが始まる予定。3月に350ミリリットル缶に詰め、4月から販売する。500円(税抜き)で市内の酒類販売店や飲食店などで提供する。 霜下さんは「なりわいとできるような商売になれば、杉水町で暮らしたいという人も出てくるのではないか」と期待を込めた。