白山市鳥越地区の民話や伝説を紙芝居で語り継いでいる「鳥越うれっしゃ会」が、14作目となる新作「虫送りの大相撲」を作った。地域に残る伝説を基に、17世紀の鳥越で浄土真宗の教えを広めたとされる名僧「任誓(にんせい)」にまつわる逸話を、地元の方言を交えて楽しく伝える。13日は同市鳥越中で披露され、生徒約50人がメンバーによる味わい深い物語に聞き入った。 任誓は二曲(ふとぎ)村(現在の白山市出合町)で生まれたとされ、寺を持たず布教に努め、村人に慕われた。しかし、他の僧からのねたみを買ったために本願寺の法主や加賀藩に訴えられ、能瀬村(現津幡町)に幽閉され、67歳で獄死したと言い伝えられている。 新作の紙芝居は、鳥越の村々で虫送りの後に行われていた相撲大会での伝説を舞台にしている。見慣れない男が現れて相撲大会の褒美をかっさらってしまい、若者衆が任誓の教えに従ったところ、男を相撲で負かすことに成功。男の正体はカッパだったという筋書きになっている。 紙芝居の基になった伝説は旧鳥越村時代に発行された「鳥越の伝説と民話」をモデルにしている。約70編ある伝説や民話から着想を得て、会員が1年がかりで紙芝居用の脚本にアレンジした。絵は池上清輝さん(83)=三ツ屋野町=が担当し、ぬくもりのあるイラスト8枚に仕上げた。 13日は会員4人が鳥越中を訪れ、新作を情感たっぷりに披露した。これまでに制作した「音無川」「称念婆」の2作も上演したほか、同校に通う生徒が暮らす鳥越、河内両地区の生活や文化を川崎正美会長(65)が語り聞かせた。 紙芝居を鑑賞した澤崎雪乃さん(2年)は「親しみやすい方言で楽しかった」と話した。現在も集落で虫送りを行っている西出登史さん(1年)は「相撲をやっていたのは知らなかった。おじいちゃんに聞いてみたい」と関心を寄せた。 会の活動も今年で16年目となり、川崎会長は「昔の人の知恵が皆さんの心にも伝わっていくとうれしい」と語った。