江戸時代後期に大野藩主土井利忠の発した「更始(こうし)の令」に始まる藩政改革の成功面とともに、その裏側にあったさまざまなあつれきを紹介する企画展「藩政改革の光と影」が、福井県大野市歴史博物館で開かれている。藩の蝦夷地開拓などへ異議を申し立てた重役岡源太夫や田村又左衛門らの言上書など初公開の約12点を含め、実物の古文書や写真パネルなど約40点が展示されている。

 更始の令は1842年、多大な借金を抱えていた大野藩の財政を立て直すことを目指し宣言された。倹約の徹底や、役職にとらわれない意見の採用を進め、藩営商店大野屋の全国展開や面谷銅山の採掘規模の拡大などを経て財政は回復。大野藩の約250年の歴史の中で、最大の成功例とされている。

 今回の企画では、改革の裏で藩士らが抱いていた不平や不満に焦点をあてた。面谷銅山を取り上げたコーナーでは、役人小泉佐左衛門が43年、銅山の頭取の罷免に対し藩に異議を申し立てた末に自害した出来事を紹介。大野藩士の途絶えた家を記録した「断絶録」や、石高や役職を記した「分限帳」の最新の調査結果から事件をひもといてゆく。

 財政改革の立役者である家老内山良休が蝦夷地開拓に使われた大型西洋式帆船「大野丸」が北海道根室沖で沈没した際に、年寄中村雅之進に宛てた書状も公開。「しかしながら大食いの大野丸、御益は更に無し」という一文がしたためられ、藩の財政回復には大野丸を失うことがかえってよかったととらえていたことが分かる。

 市教委の学芸員は「改革の表と裏、両方の面から歴史を学び、理解を深めてもらえたら」と話している。
 
 11月4日まで。入場料は大人200円、中学生以下無料。
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