新潟県長岡市栃尾地域の小貫地区にある羽黒神社で、天井に描かれていた花の絵がよみがえった。神社は中越地震で被災し、天井絵はいつしかなくなっていた。近くで生まれ育った女性が昨年、100歳を迎えた記念に神社の改修費として2千万円を寄付。かねて「小さい頃に眺めた花の絵が忘れられない」と話していたことから、息子らが地元の絵画愛好家に依頼し、天井いっぱいに色とりどりの花を咲かせた。

 羽黒神社は約800年前、源義経の忠臣佐藤継信・忠信兄弟の母、音羽御前が建立したとされる。2004年の中越地震では社殿の土台が崩れ、二つの鳥居が大きく傾く被害を受けた。修復したものの、廊下に穴が開くなど老朽化が進んでいた。天井の絵がなくなった時期は不明だ。

 女性は小貫出身で千葉県印西市に住む三沢豊さん。嫁いでからは高台に立つ神社の麓で70年以上暮らした。10年に夫を亡くし、長女と2人暮らしになった。介護の負担を減らそうと、11年に長男の正平さん(67)らが暮らす千葉に移住。しかし、ことあるごとに「実家、神社、墓がある小貫に帰りたい」と話していたといい、16年からは夏の4カ月間を小貫の家で家族と過ごしている。

 新しい天井絵は49枚で構成され、栃尾地域の絵画愛好家ら7人が手掛けた。1メートル四方の杉の板1枚に菊やアジサイ、ヒマワリなどを1品種ずつ描き、天井一面を埋め尽くした。絵を描いた愛好家の一人で、栃尾大野町2の今井厚さん(80)は「花が好きだと聞いたので喜んでもらえるよう心を込めて描いた。色のバランスを見て49枚を並べた」と語る。

 天井絵の復活を伴う神社の改修は18年5月に始まり、ことし3月に完成した。社殿の床板の張り替え、照明設備の強化など20カ所に及び、調度品も新調した。傾斜が急で、高齢者が上るには大変な石段には手すりを設置した。

 神社を管理する小貫区長の小熊清喜さん(68)は寄付の申し出を「突然のことで驚いた」と振り返り、「神社の寿命が50年、100年延びた」と喜ぶ。

 寄付の際に、正平さんらはもう一つお願いをした。神社と麓の家を隔てる杉の伐採だ。出歩くことが難しくなった豊さんが家から神社を眺められるようにと、心を配った。

 豊さんは今夏、家族に連れられて神社を訪れ、感慨深げにじっと天井絵を見つめていたという。社殿に立った正平さんは「母が愛した羽黒神社が昔のようににぎわい、何十年先も残ってくれたらうれしい」とほほ笑んだ。
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