近代日本を代表する福井ゆかりの彫刻家、高田博厚(1900〜87年)の世界観を楽しく学べる鑑賞シートを福井大の大学院生が創作し10月12日、福井市美術館で完成発表会が行われた。五感を使った鑑賞や彫刻の制作プロセスを探る学びなど興味関心に応じた4種類を用意した。

 高田は2〜18歳の多感な時期を福井で過ごした。上京直後に出会った高村光太郎の影響で彫刻や翻訳に従事。渡仏後は文豪ロマン・ロランら知識人の輪に招き入れられ、才能を開花させた。

 福井市美術館は高田の作品群を常設展示している。鑑賞シートは、常設展を生涯学習の場として多くの世代に活用してもらおうと、美術館と福井大教育学部の濱口由美教授の研究室が連携し、美術教育を学ぶ大学院生が創作した。「学習のとびら」と銘打ち、▽物語▽レシピ▽哲学▽からだ―を各テーマとしている。

 発表会には学生や美術教員ら15人が集まり、シートを創作した福井大大学院2年の高橋葵彩さん、森下由唯さん、松宮史恵さんらが狙いや使い方を説明した。
 「物語のとびら」は、高田の作品を五感で観察して想像を膨らませ、一緒に美術館を訪れた仲間と考え合う。「哲学―」は、年表に示した福井での青少年時代や幅広い交友、名言を基に、高田の心情や大切にしたいものを考え書き込める。

 「レシピ―」は石膏(せっこう)で型を作り、ブロンズを流し込むなどの高田の制作工程をカード形式にした。「からだ―」は、手足のない胴体の像「トルソ」作品の「カテドラル」について、造形的特徴を捉えてポーズをまねる活動や、友だちを彫刻に見立ててポーズを指導する学びができる。

 学生3人は「楽しい仕掛けを通して作品の背景を読み解くことで高田に親近感を持ってほしい。親子やカップルで気軽に楽しく学んで美術の敷居をなくし、美術館そのものも身近に感じもらえれば」と話していた。

 鑑賞シートは常設展で配布し、美術館のホームページからもダウンロードできる。
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