白山市白峰の尾田(びた)好雄さん(86)が、地域に伝わる民芸品の継承に取り組んでいる。白峰で暮らしながらボランティア活動を行う「緑のふるさと協力隊」のメンバーに4年にわたり、昔ながらの荷物入れの作り方を伝授してきた。山間用具類の制作が盛んだった白峰は、種類の豊富さから「民芸の宝庫」と指摘する専門家もいる。尾田さんは山村文化を次世代に引き継ぎたいと意気込んでいる。
 尾田さんは、子どもの頃から山仕事をしていた父親を手伝い、山道を歩く際に弁当や収穫した山菜などを入れて背負う「タミノ(タビノ)」や、腰に着ける「ドウラン」と呼ばれる荷物入れの作り方を覚えた。
 稲わらやガマを用いて制作するタミノ、ドウランは、利便性が高い搬送用具として現在も使われている。
 民芸に詳しい県立美術館の鶴野俊哉学芸担当課長によると、白峰には林業や狩猟などで使われてきたさまざまな民芸品が残る。ただ、高齢化が進み、こうした道具を作ることができる住民は年々少なくなっているという。
 尾田さんは4年前、NPO法人地球緑化センター(東京)の「緑のふるさと協力隊」隊員として白峰に来た田邊絵夢さん(23)=さいたま市出身=に請われたのがきっかけで、タミノやドウランの作り方を指導するようになった。田邊さんは1年間の隊員の任期を終えた後も白峰に住み続けており、尾田さんと新たな隊員の仲介役を担っている。
 24日からは、今年の隊員となる大沼明香里さん(25)=東京都出身=がタミノ作りを開始。尾田さんが専用の織機を使い、ガマを麻ひもで編んでタミノに仕立てる方法を教えた。大沼さんは「シンプルなつくりなのに強度がある。昔の人の知恵はすごい」と目を丸くした。
 タミノは約1カ月で完成する見込みで、尾田さんは「若い人が白峰の道具に興味を持ってくれてうれしい。この文化がなくならないように伝えていきたい」と話した。

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