南砺市福光、城端両地域にまたがる立野原地区にブドウ畑とワイナリーの整備を進める「トレボー」(中山安治社長)が、ワインの醸造を開始した。3年がかりで準備を進めてきた南砺産ワインの生産が、いよいよ本格化する。

 なだらかな丘陵地が続く立野原地域。一面にブドウ畑が広がる。実りの秋を迎えれば葉は黄金色に耀き、一帯はフランス語で文字通り「コート・ドール(黄金の丘)」となる。

 2年前まで耕作放棄地だった畑に、1・8メートルほどに育ったブドウの木々が並ぶ。「ちょっと味見してみて」。社長の中山さん(70)が実を摘んできてくれた。赤ワイン用の代表的ブドウ品種「ピノ・ノワール」と「カベルネ・ソーヴィニヨン」。口の中に爽やかな酸味と甘みが広がる。

 トレボーは8月28日、砺波税務署から果実酒の製造免許の交付を受けた。31日にはイタリアとクロアチアから仕入れた機器の試運転を兼ね、白ワイン用の品種約300キロを搾汁。今月中旬には他県から買い付けたブドウ25トンで、2万5千本の生産に入る。

 醸造を担当するのは30代の男性社員2人。富山市内の酒蔵の杜氏(とうじ)と、山梨県のワイナリーの社員だった経歴をそれぞれ持つ。ワインの品質の決め手となるブドウづくりを担当しているのも、酒蔵で蔵人(くらびと)を務めていた40代の男性だ。いずれも中山社長がスカウトした。「僕はせいぜい、あと5、6年できればいい。若い人が自由に、面白い酒を造ってほしい」

 高岡市の酒販店社長だった中山さんと、南砺市の飲料メーカー社長の五天外喜雄さんらがトレボーを設立したのは2017年。わずか3年で立野原地域にブドウ2万7千本を植えた12ヘクタールの畑と、販売ブースを備えた醸造棟を整備した。

 中山さんが立野原地域を選んだ理由は二つある。一つ目は丘陵地の雰囲気が、ワインの一大生産地であるフランスの「コート・ドール」を感じさせたこと。二つ目は、高齢化などで果樹栽培や畑作を続けられなくなった農家が増え、休耕地が目立つようになった中山間地を活性化したいとの思いからだ。
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