江戸時代、北前船の船主として財を築いた豪商古河屋の建物で、福井県指定有形文化財の「旧古河屋別邸」(通称・護松園(ごしょうえん))=小浜市北塩屋=が、若狭塗や北前船を紹介するギャラリー、カフェになり、来年5月にも一般公開される。保存の難しさから放置されかねない文化財を、利活用しながら後世に引き継いでいく新たな試みとして注目される。10月から改修工事に入る。

 別邸は藩主を迎えるために整備された迎賓館で、木造2階建ての数寄屋風書院造り。庭園の眺望を良くするために縁側の角柱がないのが特徴。廻船問屋や金融業を営んだ古河屋の全盛期とされる1815年に建築された。市文化課によると敷地面積は約831平方メートル、延べ床面積は約395平方メートル。認定された二つの日本遺産「御食国(みけつくに)若狭と鯖街道」「北前船寄港地・船主集落」を代表する文化財の一つとして位置づけられている。

 1956年に市民が買い取り、2018年以降は市が管理。今年5月から若狭塗箸製造卸会社「マツ勘」(同市北塩屋)が所有、管理している。公開活用に向けて同社と市が委員会をつくり、6月に方針を定めた。

 同社が主体となり市民や観光客が気軽に集える「みんなの別邸」をコンセプトに改修する。台所はコーヒーや軽食提供のカフェに、客間は利用客がくつろげる空間、同社の若狭塗箸販売スペースにする。カフェ横の蔵は、1階を若狭塗のルーツや小浜の港町の歴史や文化を紹介するギャラリー、2階は貸しスペースとなる。同館全体をイベント会場としても利用できる。

 事業費は約5千万円。国、県、市からの補助を受ける。来年5月にカフェと若狭塗箸の販売スペースを先行オープンし、再来年春に完全開業予定。同社は初年度の来館者数目標を1万1900人としている。

 同社の専務は「市民が小浜を代表する文化財に親しみ、古里への誇りを持つきっかけになる場にしたい」と話す。「地場産業の未来の後継者を育成する場」とも位置づけている。
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