〈地元で開業、評判上々〉
 輪島市門前町の總持寺通り商店街で13日までに、空き店舗に地元食材を扱う料理店が開業した。總持寺開創700年の節目に、地元在住の料理人安田俊英さん(45)が幼い頃から慣れ親しんだ商店街に活気を呼び戻そうと独立した。コロナ禍で営業時間の短縮を余儀なくされた中でのオープンとなったが、「コロナにめげず、節目を迎えた地元を盛り上げたい」と意欲を高めている。

 店は10年ほど前まで、すし店だった空き店舗を改装した。「縁側でくつろぐような気持ちで店に来てほしい」との思いを込めて店名は食事処「縁(えにし)」とした。

 門前町で生まれ育った安田さんは高校卒業後、地元のホテル「ビューサンセット」に就職し、料理人としての腕を磨いた。3月に退職するまでの5年間、料理長を任された。

 安田さんにとって商店街は小学校の通学路だった。中学校の部活帰りに立ち寄った書店や食堂、友人との待ち合わせに使った喫茶店など、思い入れのある店は多い。しかし、今では、当時通った店のほとんどが閉じ、空き店舗が目立つ。

 今年の總持寺開創700年に向け、安田さんは数年前には「禅の里づくり推進協議会地域まちづくり部会」に加入した。地域のにぎわい作りに取り組む中で、「商店街の一員として地元を元気付けたい」との思いを強くし、節目の年に開業することを決意した。

 店は先月24日にオープンした。門前町の鹿磯漁港などで仕入れた新鮮な魚介類や、特産の「輪島ふぐ」、能登牛など能登の食材にこだわったメニューを提供し、住民が気軽に立ち寄れる店を目指す。

 オープンから間もなくして感染が急拡大し、閉店時間は本来の午後10時から同9時に短縮している。それでも地元客からの評判は上々で、リピーターも増えてきた。安田さんは「お客さんから『おいしかった。大変な時やけどまた来るわ』との言葉をいただき、力になっている」と感謝した。

  〈商店ピークから半減〉
 總持寺祖院の門前町として栄えた總持寺通り商店街は2007年の能登半島地震で商店が全半壊するなど甚大な被害を受けた。後継者不足も追い打ちを掛け、廃業する店が相次ぎ、ピークの1965年には55店が軒を連ねたが、現在はほぼ半分の約30店まで減った。

 開創700年記念事業に向け、商店主らでつくる総持寺通り協同組合は、空き店舗の解消を図るため、テナント誘致に力を入れている。
【北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ】