陰陽(おんみょう)道の旧暦に基づいて日本酒を造るプロジェクトが11月1日、福井県小浜市中井の小浜酒造で始まった。平安時代の陰陽師、安倍晴明を祖とする天社土御門神道(てんしゃつちみかどしんとう)本庁(おおい町)がアドバイザーを務め、工程の節目に吉日を選んだスケジュールの下、年明けからの販売を目指す。同酒造は「旧暦を基に原点に立ち返った酒造りに挑戦してみたい」と意気込んでいる。

 同庁は陰陽道、月の満ち欠けに基づき暦を作っており、全国の神社へ暦とともに日本酒を送っている。これを知った同酒造が、農作物の栽培管理に役立てられてきた旧暦にちなんで酒を造りたいと考えた。

 高岡代表取締役は「昔の人が参考にしてきた暦には、何かしら意味があるはず」。水仕事にふさわしくない日があるなど、さまざまな暦注や習わしを学んだという。

 酒母米の初蒸しは、最高の吉日とされる「天赦日」と、福を授かる「天恩日」が重なる11月12日に、初搾りは一つの善行が1万倍になって返ってくるという「一粒万倍日」の12月17日を候補日に選んだ。初添え、火入れなども吉日にしたいという。藤田庁長に縁起のいい方角を教えてもらい、北西のタンクで仕込むことを決めた。

 1日には酒蔵で仕事始めの祈祷があり、藤田庁長らが祈りをささげ、社員や杜氏ら8人がおいしい酒の完成を願った。

 同市宮川地区産の酒米の山田錦、上流に同庁がある南川の水を使い、純米吟醸酒を約1200リットル作る。名前は陰陽道の神にちなみ「泰山(たいざん)」。同庁近くのスギを使った箱で包装することも考えているという。

 高岡さんは「タンク内の精密分析を参考にしつつ、できる限り吉日を選んで作業したい」と話す。藤田さんは「神事で酒と米は一番大切。その酒造りに関われて幸せだし、出来上がりが楽しみ」と期待していた。
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