名作集結 ファン感動 県美術館で棟方志功展
青森に生まれた棟方は上京後、版画の道に進み、福光町(現南砺市)への疎開を経て、画風を変化させていった。
会場には棟方が民藝(みんげい)運動の創始者柳宗悦(むねよし)と知り合うきっかけとなった出世作「大和(やまと)し美(うるわ)し」や、代表作「二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)」など全国各地に残る名品が一堂にそろう。気に入った作品を写真に収めていた契約社員、相澤冬樹さん(70)=茨城県=は「力強いエネルギーを感じる。こんな大きいサイズの作品を一枚一枚彫って作っているのかと思うと驚かされる」と話した。
戦中戦後を過ごした福光では板木が手に入りにくい中、小さな画面で俳句や随筆の世界を表現した「板画本」も残した。家族と訪れた大学1年の篠原はんなさん(19)=京都府=は、棟方が自らの随筆を題材に制作した「瞞着川板画巻(だましがわはんがかん)」を前に「サイズが小さく、色鮮やかでかわいい。文字を反転させて彫っていく技術もすごい」と笑顔を見せた。
伸び伸びと筆を走らせた書や光徳寺(南砺市法林寺)が所蔵する襖絵(ふすまえ)「華厳松(けごんまつ)」も並ぶ。無職の小林良作さん(72)=富山市=は「棟方さんは福光の美しい風景を前に感動したのだろう。その思いがひしひしと伝わってくる」と言う。
後半には、円熟期を迎えた棟方が公共建築の壁画を依頼されて手がけた作品も並ぶ。中学時代の同級生と足を運んだ大学院生、小川脩子(ひさこ)さん(80)=千葉県=は「眺めていると絵の中に宇宙が広がっているような気がしてきて胸が熱くなった」と語った。
同展は県美術館と北日本新聞社でつくる実行委員会、県主催。
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