福井県越前市ゆかりの紫式部が都から越前国へと赴いた「下向の旅」にちなんだ企画展「越前市へ通じる道〜人・モノが行き交う道」(福井新聞社後援)は、市武生公会堂記念館で開かれている。式部が通ったとされる北陸道をはじめとする古代から近現代までの「道」の歴史を、古文書や絵地図などの資料約60点を交えて紹介している。

 式部は996年、越前国の国司に任じられた父藤原為時とともに現在の越前市に移り住んだ。平安京から越前国に向かった下向の旅は、逢坂の関を越えて打出浜から舟で琵琶湖を北上して敦賀へ。敦賀からは、再び舟を使って杉津に上陸した山中峠越えと、陸路の山中を進んだ木ノ芽峠越えの2通りの経路が想定されている。

 「紫式部集」に残る式部の和歌には「帰山(かえるやま)」「五幡」など道中の地名が詠まれており、これらの和歌に沿って想定ルートを地図で示した。越前国府に向かう北陸道は、現在と同様に市街地を南北に縦貫していたとみられ、道中に一定間隔で馬を常備した駅について解説。越前国府から都までの往復の日数が「上り7日、下り4日」と記された平安中期の書物「和名類聚抄(わみょうるいじゅうしょう)」も展示した。

 北陸道は、中世に入ると時宗や天台真盛宗の布教経路となり、近世には参勤交代や庶民の寺社参詣で往来が盛んになった歴史を紹介。江戸時代の「江戸福井往還図屏風(びょうぶ)」は、江戸と福井城下を結ぶ街道と宿場の景観や往来する人々の姿を伝えている。足羽山で採取されて府中城の石垣に使われた笏谷石、中国から伝来した白磁や青磁の出土品などが並び、街道が果たした物流の役割も示している。

 3月24日まで。16日午後2時から担当学芸員によるギャラリートークがある。鉄道の歴史をテーマにしたミニ企画展も合わせて開かれている。入館料は一般300円。月曜休館。
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