国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選ばれている今庄宿(福井県南越前町)の昭和初期の街並みを500分の1で再現したジオラマが同宿で展示されている。古民家の保全活動を進める地元団体が古老への聞き取り調査などを基に、宿場町として栄えた当時の風景をよみがえらせた。550にも上る板葺(いたぶき)屋根の民家など建物群のほか、明治期の北陸線開通に伴い整備された今庄駅などを緻密に表現している。

 今庄宿は、福井藩主結城秀康が旧北国街道に宿駅を整備したのが始まり。宿場町としてにぎわいを見せ、多くの旅人を迎えた。北陸線が開通すると蒸気機関車が行き交うようになり、交通の要衝として発展した。

 ジオラマは縦1・2メートル、横2・3メートル。街道沿いには、石を上に置いた板葺屋根の民家や、防火のために設けた「卯建(うだつ)」のある町屋が軒を連ねる。その中には、明治期以降に建てられた今庄駅や洋風建造物「昭和会館」の姿も。歴史と伝統が息づく町に、近代的要素を含んだ建物が溶け込んでいる。芝居小屋や銭湯、今庄小学校、寺院も再現し、往事の暮らしぶりの一端を伝える。

 NPO法人「今庄旅籠(はたご)塾」が町の委託を受け、2021年春に写真や図面の収集など調査を開始。当時を知る住民への聞き取りも行ったところ、資料にはなかった芝居小屋や銭湯の存在も判明した。

 調査で得られた情報を基に、中心メンバーの須﨑さんが22年6月ごろに製作に着手した。だが、須﨑さんの工房は同年の記録的大雨で約1メートルの床上浸水被害を受けた。1階で保管していたジオラマの部品は流され、泥のかき出しや家具の清掃など復旧作業に明け暮れる日々が続いた。

 製作を再開したのは23年1月。市販品はほとんど使わず、ほぼ手作りで仕上げた。須﨑さんは「周囲の支えもあり、多くの苦労を乗り越え完成にこぎ着けた。当時の歴史に思いをはせながら今庄宿の魅力を感じ取ってほしい」と話す。

 ジオラマは旧京藤甚五郎家で金、土、日曜と祝日の午前10時〜午後4時に公開している。入場無料。問い合わせは南越前町まちづくり観光課=電話0778(47)8002。
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