広島市の中心地である大手町には、真新しいトレンドのお店が軒を連ねています。そんな現代的なエリアの中に、しっとりと佇む昔ながらの喫茶店「ツバイG線」。コーヒーの香りと昭和レトロな雰囲気の中でいただく食事は格別です。

今回は、常連さんにも人気のランチ2つを取材してきました!長く愛されてきた味の秘密についても聞くことができたので、広島市内で喫茶店ランチを探している人、必見です。

 

G線ランチ「イタめしカルネ(焼肉ランチ)」

イタめしカルネ(焼肉ランチ)牛980円/豚930円※写真は豚

 

G線ランチは全部で3種類。メインが1品ついた「日替わりAランチ」700円と、メインが2品の「日替わりBランチ」880円、「イタめしカルネ(焼肉ランチ)」牛980円/豚930円のいずれかを選べます。

今回は、「イタめしカルネ(焼肉ランチ)」の豚をいただきました。

タレにこだわった「イタめしカルネ(焼肉ランチ)」は、オープン当初から続く牛と、最近加わった豚の2種類のお肉からお好みでチョイス。なお、牛は数量限定とのこと。

使用しているタレは、お店のオリジナルだそうです。濃いめに味つけされた焼肉のタレは、敷かれた麺に絡めるほか、ご飯にバウンドさせてもおいしいですよ。牛はしっかりした歯ごたえと肉らしい香りが特徴ですが、豚はあっさりしているので女性にもおすすめとのこと。

なお、G線ランチとは別にパンを使ったランチボックスもあります。

 

お好み焼き風スパゲッテイ(広島風)

お好み焼き風スパゲッテイ(広島風)880円

 

喫茶店のランチといえば、ナポリタンなどのスパゲッティを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?ツバイG線のスパゲッティは、茹で方からソースまでこだわっており、ここでしか食べられない味と食感が特徴。

なかでも「お好み焼き風スパゲッテイ(広島風)」は、ソースと麺の相性、合わせる具材の選定、トッピングの種類まで細かいこだわりが詰まった一品です。常連さんの中には、このメニューしか頼まない人もいるそうです。

焼きそば麺とは違い、太くてモッチリしたスパゲッティがソースとよく絡みます。焼きそばでは珍しいマッシュルームが入っているのは、スパゲッティならではですね。

「ソースの種類や味つけ、合う具材を探すためにたくさん試食して完成に至りました。スパゲッティにありがちなピーマンやニンジンを入れてみたり、お肉も挽肉で試してみたり…ソースもお店オリジナルのものを使っているんですよ」と、話してくれました。

広島県民にとって馴染みのあるお好みソースですが、甘さと濃厚さがこれまで食べたソースとは異なります。

ちなみに、メニューに登場した当初は、卵が乗っていなかったそう。約5年前から温泉卵、目玉焼きを経て、今の生卵の黄身に行きついたとのこと。

 

 

黄身と絡めて食べると、まろやかになり味に深さが出ます。なお、卵の食べ方はお好みで…とのこと。

そのまま少し麺を食べ進めたあと卵と混ぜ合わせて食べる人もいれば、先に生卵の部分を食べる人もいるそうで、お気に入りの卵の食べ方を見つけるのも面白そうですね。

 

食事のあとはコーヒーやスイーツで休憩を

サイフォン式コーヒー

 

ツバイG線ではサイフォン式で淹れたコーヒーをいただけます。カウンター席では、こぽこぽとコーヒーが出来上がっていく様子が見られますよ。

 

G線ブレンド ランチとセットで250円

 

サイフォン式で淹れたコーヒーはスッキリでやわらかい味になるのが特徴。食後の口の中がさっぱりします。なお、ランチ注文の場合はプラス250円〜ドリンクの注文が可能です。

今回はG線ブレンドをいただきました。苦味や酸味が少なく、ブラックでもスッキリとしています。

 

プリン 単品300円/ドリンクセット700円

 

食後にコーヒーと軽いスイーツが食べたい人には「プリンセット」がおすすめだそう。昔ながらの硬めのプリンは純喫茶の代名詞ともいえますね。上にたっぷりかかった甘めのカラメルソースと合わせていただきます。

ミニサイズなのでランチでお腹いっぱいになったあとでも食べられそうです。

 

常連さんに愛される料理とコーヒーへのこだわり

ツバイG線・入口

 

1970年に1号店がオープンし、その約10年後に2号店としてツバイG線がオープンしたそうです。店名の「G線」は「G線上のアリア」から由来しており「ツバイ」はドイツ語で”2”を意味しています。

歴史のあるツバイG線のおいしさと人気の理由を、店長の福谷隆(ふくたにたかし)さんに伺ってきました。

 

1970年開業から変わらない麺の茹で方

 

「G線で出しているスパゲッティは、麺の茹で方にこだわりがあるんです。茹で上がりすぐを提供できるのが理想ですが、実際のランチ営業は忙しく難しい…。そんな問題から、先代が茹で上がりすぐの状態をなるべくキープできる製法を編み出しました」と、福谷さん。

水の分量や茹でる麺の量、茹で汁に入れるものまで細かく指定されていたそうです。

「作り方の詳細は企業秘密ですが、指導の過程で先代のこだわりをひしひしと感じられました。これだけは変えたらいけない…!という強い意思も感じられたので、この味を守っていきたいですね」と、話してくれました。

こだわりの製法で作られたスパゲッティは、一度食べるとやみつきになりますよ。

 

純喫茶ならではの雰囲気と時間を楽しめる

 

”純喫茶”という言葉から想像される通り、赤いソファに雑誌や新聞。カウンターにはカップやコーヒーが並んだ店内では、ゆったりとした時間が流れます。

「今はタバコが吸えないお店が多いですが、当店は全席喫煙可能な昔ながらの喫茶店です。大人の落ち着いた雰囲気の中、ランチ後にコーヒーを飲みながらタバコで一服することもできます」と、福谷さんは話します。

 

 

また、数年前までは店内音楽がクラシックのみだったことも話してくれました。

「私(店長)の父にあたる2代目が、実はバイオリンを弾いていたんですよ。店名の由来となったG線上のアリアは、バイオリン奏者が必ず通る練習曲ともいえる楽曲です。身内にはトランペットを吹く者もいましたし、割とクラシックというものが身近だったのかもしれません。今は店内にJポップを流していますが、クラシック好きが由来している店内の雰囲気は楽しんでもらえるかも」とのこと。

純喫茶のレトロな雰囲気は”エモ”さを感じさせますね。

 

ツバイG線の基本情報とアクセス

広島電鉄「紙屋町西」駅から徒歩3分程度の場所に位置するツバイG線。おりづるタワーからも近く、エディオン広島本店西館の裏通りにあります。店前の通りは、車両が一方通行となるためご注意ください。

 

●ツバイG線 ツバイG線・外観

 

住所広島県広島市中区大手町1-4-30TEL082-247-3410営業時間7:00〜18:00(フードLO 17:00/ドリンクLO 17:30)定休日無駐車場無支払い方法現金のみ

 

きらびやかな街中の一角に昭和を彷彿とさせる「ツバイG線」はあります。常連さんからレトロブームを楽しむ若者まで、多くのお客さんで賑わう店内には、たくさんの笑顔が溢れていましたよ。ぜひ、ツバイG線のランチで、心もお腹も満たされてくださいね。

 

ライター/丸山希

※紹介した内容は2023年5月取材時点のものです。公開後に内容は変更される可能性があります。