親しみやすい笑顔と自然体の演技で人気の俳優・田中圭。彼の存在が、多くの人に認知されるようになったのは、お人好しの青年・春田創一を演じた2018年放送の連続ドラマ「おっさんずラブ」がきっかけだろう。いつまでも少年らしさを失わず、そのピュアなハートで誰からも愛される春田を好演し、一気に彼のファンが急増したことは記憶に新しいところ。近年は、年齢を重ねるごとに厚みを増している包容力が評価され、多くの作品でストーリーの鍵を握る役を好演。なかでも、映画「そして、バトンは渡された」では、血の繋がらない娘を愛情たっぷりに育てるシングルファザーを演じ、高い評価を得た。そんな田中が2006年に出演したのが、2002年ソルトレイクシティ冬季オリンピックカーリング競技女子日本代表として活躍したカーリングチームをモデルにした映画「シムソンズ」だ。

物語の舞台は、日本随一のカーリング王国として知られる北海道常呂郡常呂町(現在の北海道北見市)。ホタテとタマネギ、そしてカーリングが名物の町で生まれ育った和子(加藤ローサ)は、高校三年生の秋になっても明確な将来のビジョンを描けないまま、日々を過ごしていた。そんなある日、オリンピック出場経験もある憧れのカーリング選手"マサト様"こと加藤真人(田中)に「チーム、作ってみる気ない?」と声をかけられた和子。友人の史江(星井七瀬)と菜摘(高橋真唯)を口説いて、初心者だらけのカーリングチーム「シムソンズ」を結成する。そこへ唯一のカーリング経験者で、才能はあるものの協調性を欠くため、強豪チーム「ホワイトエンジェルズ」を抜けたばかりの美希(藤井美菜)も加わるが...。

(C)2006「シムソンズ」製作委員会

まだあどけなさが残る表情が印象的な真人を演じた田中は、当時22歳。"地元が誇るカーリング王子・マサト様"というアイドル的な役どころにも圧倒的な説得力を持たせる、ちょっと素朴な美青年をナチュラルに体現している。また、持ち前の運動神経の良さを活かして挑んだカーリングシーンでは、その体幹の強さや真剣な眼差しを心ゆくまで堪能できる。

真人と和子が初めて言葉を交わすシーンでは、憧れのマサト様に距離を詰められ、なぜか瞳を閉じてキス待ち状態になる和子に一瞬、戸惑う真人。その際に田中がみせる絶妙な表情は、「おっさんずラブ」で吉田鋼太郎演じる黒澤武蔵に熱烈なアプローチを受けた際に春田が浮かべる、なんとも言えない表情を連想する人も少なくないだろう。

田中をはじめ、シムソンズを支える人々を演じる豪華キャストも魅力の本作。真人に頼まれ、東京は六本木での合コンを餌にシムソンズのコーチを引き受けた漁師・大宮平太役には、北海道を代表する俳優に成長した大泉洋が扮する。そして、シムソンズの活躍を結成当初から追いかけるローカルテレビ局のディレクター役に松重豊、和子たち行きつけの喫茶店のマスターを特別出演の高田延彦がそれぞれ演じている。

シムソンズに欠かすことのできないキーパーソンでもある"マサト様"を等身大の演技で表現した田中。若き頃から今も変わらない、彼独自の存在感をその目で確かめてみて欲しい。

文=中村実香

放送情報

シムソンズ
放送日時:2022年11月26日(土)14:05〜
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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