里見香奈女流五冠の棋士編入試験が行われたばかりだが、新たに小山怜央アマの棋士編入試験五番勝負が始まる。

小山アマは岩手県釜石市出身の29歳。中学生で一度奨励会を受けたものの不合格となったが、その後は実力を伸ばし、各種アマ大会で活躍。2011年の東日本大震災では海岸沿いに実家があり、津波で家が流されてしまい仮設住宅暮らしも経験したそうだ。

これまでの実績は主要6大大会だけでも、

2015年 アマ名人、東支部名人
2016年 アマ王将、準アマ竜王
2017年 赤旗名人
2018年 準アマ竜王
2019年 準アマ竜王
2021年 支部名人
2022年 アマ竜王

とアマ棋界屈指の実績を残しており、朝日アマ名人以外は全てのタイトルを獲得している。なお、2020年以降はコロナ禍により大会が激減したため、本来ならばさらにタイトルを増やしていただろう。2015年のアマ名人の権利を使い、三段リーグ編入試験を受けているが、そちらは不合格となっている。

プロ公式戦で活躍が始まったのは2020年末に始まった第34期竜王戦。ランキング戦6組で4連勝して準決勝に進出し、アマチュア初の5組昇級まであと1勝と迫った。ここで結果を出し、棋士編入試験の資格(公式戦10勝5敗)が見えてきた事で、当時勤めていた会社を退職して将棋に専念する。さらに今年2022年の第16回朝日杯将棋オープン戦では4連勝し、アマとしては史上3人目の二次予選進出を決めた。同時に10勝5敗の規定を満たし、編入試験への挑戦を表明。

補足するとアマチュア大会からプロ公式戦への参加枠は少なく、倍率も非常に高いため、元奨励会三段クラスの実力者でも公式戦に出るだけでも大変だ。以前にこの規定を満たして編入試験を受けたのは今泉健司五段、折田翔吾五段、里見女流五冠だが、いずれも三段リーグ在籍経験者でプロ目前まで到達していた(プロ編入第一号の瀬川晶司六段も含め)。三段リーグどころか奨励会の在籍経験もない小山アマが合格となれば、将棋界の新たな1ページとなることだろう。

棋士編入試験五番勝負の試験官は里見女流五冠の時と同様に徳田拳士四段、岡部怜央四段、狩山幹生四段、横山友紀四段、高田明浩四段の5人。徳田四段は高勝率で、先日は第12期加古川青流戦で初の棋戦優勝を飾った。岡部四段は今期の朝日杯で小山アマと対戦しており、小山アマが逆転で制している。

これまでプロ棋士を輩出したことのない県はいくつかあるが、小山アマの出身である岩手県もその1つ。今回小山アマが合格すれば岩手県初の棋士となり、地元も大いに盛り上がることだろう。

第1局は11月28日に関西将棋会館で徳田四段と対戦する。初戦から難敵で厳しい戦いが予想されるが、夢をつかむことはできるか。

文=渡部壮大

放送情報

第29期 全国アマチュア王将位大会 決勝トーナメント準決勝 第1局 今泉健司 vs 小山怜央
放送日時:2022年11月15日(火)10:20〜
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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