「どうしても弁当屋をやりたくて、気が付いたら店を開いていました」と笑顔で語るのは湯浅孝臣(たかおみ)さん。

コロナ禍をきっかけに2020年12月に北海道札幌市で「まんぞく弁当」をオープンしました。開業して1年程度でテレビに取り上げられる有名店へ。そんな店に成長させた湯浅さんの手腕に迫ります。

弁当屋開業の理由は「いい物件があったから」

湯浅さんはこれまで、ドラッグストアやホテルなど様々な仕事を経験してきました。バイヤーの経験や、経営のノウハウ、ポスターのデザイン経験が今に活かされているそう。

ところが、弁当屋の開業は、計画的というよりは勢いだったといいます。

「不動産屋さんを見るのが好きで色々見てたら、条件的にこれ以上良いところなんてないなと思って借りちゃったんです」

妻に相談することなく、独断で店舗を借り、勢いで開店を決意しました。

SNSやリクエストに応えることでファンを獲得

「まずはファンになってもらうために、認知度を上げなきゃいけないので」と湯浅さん。

ビラ配りなどと並行して、正式オープン前の2020年5月からTwitterを開始。積極的にオープン準備の様子を報告。

フレンドリーなコミュニケーションで人気を集め、開店時には4,000人のフォロワーを獲得しました。オープン当初からTwitter経由での来店が多く、最初から客足に不自由しなかったんだとか。

現在もTwitterでリプライを送ったり、随時弁当の残り状況を投稿。フォロワーは2021年11月現在で14,000人を超える大人気アカウントになりました。

また当初、弁当の種類は、からあげ弁当(税込350円)など5種類程度しかなかったそうですが、「もっと大きいおにぎり作って!」「こんな弁当が食べたい!」という客のリクエストを受けて、期間限定でいくら丼を販売したり、今やまんぞく弁当の代名詞的商品「2kgおにぎり」などのメニューが生まれました。

「作るのめっちゃ大変なんですよ!」と笑いながら、客の要望に真摯に向き合って応えています。

「面白さ」を販売しているところ

また、まんぞく弁当の魅力は商品だけに留まりません。弁当屋という枠に捉われずに楽しさと面白さを追求しています。

「コロナ禍でカレー屋さんがなかなか開けないってなったとき、じゃあ1円もいらないんでウチで売りましょうって声をかけて、カレー弁当として販売したことがあります」と聞き、大丈夫なんですか?と筆者が尋ねると「面白いからいいんです」と断言します。

「1人でやるには限界があるし、このスペースを活かしていこうと思って。例えばウチは、からあげ弁当を売ってますけど、近くのからあげ屋さんが、からあげを持ってきて売っても全然いいんです。その方がお客さんも『面白いことしてる』って思って買いたくなるんですよ」と笑顔で語ってくれました。

確かに、弁当屋でありながら、店にはガチャガチャ、ポスターやチラシが並び、雑貨まで販売しています。

「ガチャガチャは個人的に好きなので、業者の方にTwitterで連絡したら置いてくれました。あとチラシやポスターは、声かけていただいた物を貼ったり置いたり。グッズもコラボしたものを販売してますね。いつのまにか物が増えちゃって」

ここだけ見ると、弁当屋とは思えないほどバラエティーが豊かです。

これからも楽しいことをいっぱいしたい

湯浅さんの思いは1つ。

それは楽しいことを沢山したいということ。

「他のお客様に迷惑がかからなければ、いろいろな事をしていいと思うんですよね。YouTube撮影もOKだし、なんか置いてほしい商品があれば置くし、とにかくここで楽しんでくれればいいですね」

湯浅さんの「人を楽しませたい」という思いと人柄が、愛される店の秘訣かもしれません。

弁当屋という枠にはまらない楽しい空間づくりをこれからも続けていくことでしょう。

翌檜(あすなろ)